Inc.:Googleの共同創業者のセルゲイ・ブリン氏が、マウンテンビューにあるNASAの巨大格納庫内で世界最大級の航空機を密かに建造しているという噂が流れました。結局のところ、世界一大きいものを隠し通すことなどできっこないのです。そして先日、プロジェクトに関わっていた匿名の人物が、ブリン氏がつくっている革命的な飛行マシンについて、詳しい内部情報を明かしました。

わかっていることは以下。

1. それはblimp(軟式飛行船)である

新しい航空機は、ブリン氏の配下にあるLTA Research&Explorationという企業によって建造されています。LTAとは「lighter than air(空気より軽い)」という意味です。厳密に言えば、この航空機は、blimp(軟式飛行船)とは呼べないかもしれません。blimpは硬い外装のない飛行船と定義されているからです。ブリン氏が建造しているものにはフレームがあり、NASAの巨大格納庫いっぱいを占めているそうです。しかし、それがどれほどの剛性を持っているかはわかっていません。

2. 長さが200メートルある

この巨大な怪獣は、長さが200メートルあまりもあると報告されています。完成すれば1930年代に存在していたヒンデンブルク号や、長さが240メートルあったメイコン号よりは短いとはいえ、現存するものとしては世界最大の飛行船となります。ヒンデンブルク号のように、メイコン号もカリフォルニアの暴風雨で破壊され、その生涯を終えています。メイコン号がブリン氏が現在使っているのと同じ、マウンテンビューにある格納庫を基地としていたのは興味深いことです。

3. 燃料はヘリウム

内部の情報筋によればブリン氏は、より安価で軽い水素を使いたがっていたそうです。しかし連邦航空局はこれを認めず、飛行船には不燃性の燃料を用いなければならないとしました。これは、1937年のヒンデンブルク号の災害を受けたものです。水素を満載した同号は、ニュージャージーで炎に包まれ、35人の乗務員のほか、地上で働いていたスタッフ1名が亡くなっています。

4. 目的は人道的支援物資の運搬と、快適な旅行のため

このプロジェクトに自ら資金を提供しているブリン氏は、この飛行船を遠隔地に食料や人道的支援物資を届けるために使うつもりだと伝えられています。たしかに飛行船は道路や空港を必要としないため、そうしたタスクにはぴったりです。

ブリン氏はまた、この飛行船を飛行機より快適な「エアー・ヨット」として、自身や家族の旅行で使いたいと考えているそうです。従来の飛行船は飛行機よりもはるかにゆっくりと移動し、より楽しい旅行体験をもたらしますが、それだけ時間がかかってしまいます。ブリン氏はこの問題を解決するために、航空宇宙技術者でNASA元幹部のAlan Weston氏に飛行船を第一世代の飛行船よりもずっと速く飛行できるようにする研究を依頼したということです。

5. 貨物輸送に革命をもたらす可能性がある

少なくとも、これがこのプロジェクトの初期段階に関わり、現在は自身の飛行船を設計している飛行船設計者のIgor Pasternak氏の見解です。「セルゲイ氏はイノベーティブで、未来を見据えている」と同氏は語っています。「トラックには道路が必要で、電車はレールがあるところにしか行けない。飛行機も空港を必要とする。一方、飛行船はA地点からZ地点までどこにも止まらずに移動することができる」と同氏は英紙The Guardianに語っています。

飛行船が貨物に使われなくなったのには理由があります。重量の問題です。1トンの貨物を降ろすと、代わりに1トンのバラスト(重り)を載せなければなりません。そうしないと、飛行船は制御不能なほど上昇してしまい、あとで必要になるであろうガスを抜かなくてはならなくなります。一方、ブリン氏の新しい飛行船は、浮力を制御できる内部ガス袋のシステムにより、この問題を解決しています。

ブリン氏の飛行船の建造コストは、1億〜1億5000万ドルだと報じられています。これは、ボーイング社の商業用ジェット機に比べて、かなり有利な金額です。この飛行船が計画どおりに稼働すれば、Pasternak氏の言うとおり、数年以内に飛行船による貨物輸送が行われるようになるかもしれません。

Google Co-Founder Sergey Brin Is Building the World's Biggest Aircraft. Here's What We Know So Far|Inc.

Source: Inc., The Guardian

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