アート大好き芸人「見取り図リリー」が、色々なアートミュージアムを実際に観に行き、美術の教員免許を持つ僕なりのおすすめポイントをお届けするという企画でございます。今回は、「西宮市大谷記念美術館」で12月6日までおこなわれている『没後20年 今竹七郎展 近代日本デザインのパイオニア』です。

今竹七郎さんなのですが、日本のグラフィックデザインの先駆者といわれてる方で、兵庫県神戸市生まれで、ずっと関西で活躍していた方。最初は「大丸神戸店」、25歳からは「大阪高島屋」でデザイナーをしていたそうで、僕たちの所属している漫才劇場は、その高島屋のすぐ近くなので、親近感!

この展覧会の最初に目に入ってくる作品で、もうカマされたのですが今竹七郎さんが学生のときに描いた絵と文字があるのですが、これがスゴすぎ。理科のノートなのか、臓器や人の骨などを絵で描いているのですが、もうただの天才ですやん!と思ってまう。デザイナーって言うからデザインの能力がすごい方なのかと思いきや・・・めちゃくちゃ絵うまい、びびりました。

社会人としては最初に1927年から「大丸神戸店」の意匠部で、今でいうプロのデザイナーとして勤め、その頃の作品もあるのですが、竹久夢二さんの美人画に影響受けているのかなぁと思いました。ちなみに「大正ロマン」を代表する画家・竹久夢二さんは岡山出身で僕も岡山出身なので親近感。親近感話もうええわ!

「大阪高島屋」に転職した頃の作品から、絵メインではなく、文字の置き方や構図も洗練されてきていると感じました。おそらく試行錯誤しながらポスターの意味や効果が最大限にでるように工夫していったのでしょう。いや、ほんまに天才。

その頃に製作したパンフレットで、りんごか梨かわかりませんが、その果物の写真にナイフのイラストを描いて果物が切れているように見えるのがあるのですが、この頃はまぁ無かった表現方法だったらしく、デザイン界の最先端を走っていたのが分かりますね(ちなみに、ドイツの学校「バウハウス」ではそんなスタイルがあったらしく、自分で辞書で訳しながら勉強していたんだとか)。

その頃は副業も許されていたそうで、仕事の幅も広く、イベントのポスターや整髪料の新聞広告なども描いています。特にすごいなぁと思ったのは、「ダン」という薬のパッケージ。現代の薬パッケージの基礎のような、今でもじゅうぶん通用するデザイン。しかも「ダン」という名前も、それまで2文字の商品がないと言う事でインパクトあるだろうと名付けたそうです。いや、デザインだけじゃなくマーケティングも天才なんかい、羨ましい!

正直今まで、今竹さんについて深く知らなかった自分が恥ずかしいです。こんなすごい人だったのかとファンになってまう展覧会です。今まで親近感で今竹さんと書いていましたが、今竹先生に呼び方を変えます!

そしてなんといっても、輪ゴムの「オーバンド」。観たら絶対わかります。あのパッケージも今竹先生なのです。70年以上使われているデザインを残すて! ちなみにメンソレータムの女の子(リトルナース)や関西電力のマークもそうなんですよ。ありすぎて紹介できないので、ぜひ実際観に行ってみてくださいー。

そして今竹先生は絵画も描いていて、これもすごい。抽象画やモナ・リザをテーマにした作品など盛り沢山です。今竹先生の言葉がありまして「デザインと純粋美術の世界をはっきり区別したがるのは日本だけ」。か、かっこいい。広告であれパッケージデザインであれ絵画であれ、僕たちはいちいち先入観に囚われず感じたように感じれば良いんですね。

残念ながら先生は2000年に亡くなってしまったのですが、個性的な方らしく、人間の顔が対称なわけがないという事で左右非対称なメガネを作ってかけていたんだとか。めちゃくちゃ人に愛されるユニークな方で、1998年にもこちらの美術館で展示をおこなったときは、毎日来てニコニコして若い方に話しかけていたそうです。会いたかったなー!

『没後20年 今竹七郎展 近代日本デザインのパイオニア』

芸術文化・デザインを関西から発信し続けた今竹七郎のグラフィックデザイン、商品パッケージ、絵画など400点を展示。今竹氏から作品を寄贈された「西宮市大谷記念美術館」ならではの企画展となっており、時代とともに変化・進化するデザインの足跡を追うことができる。期間は12月6日まで、一般1000円、高大生600円、小中生400円。

【見取り図の近況】

「よしもと漫才劇場」をはじめとする劇場・配信で見取り図の漫才を! 今回の取材で着用しているのは、僕が住む岸里をリスペクトしてデザインした「KISI VILLAGE(岸里)」。「CLASSY GRAPHIC T−SHIRTS SYNCLAPH」でオンライン販売されてます。