3年連続『M-1グランプリ』出場、2月に放送された『相席食堂ゴールデンSP』(ABCテレビ)ではロケ中に変えた髪型「コーンロウ」がツイッターのトレンド入りを果たすなど、今や一挙手一投足が注目される売れっ子になったお笑いコンビ「見取り図」。

この春からは昼の生放送番組でのMC、全国ネットのレギュラーに抜擢されるなど、その活躍は加速し続けている。この状況を本人たちはどのようにとらえているのか。気になる東京進出についても訊いた。

取材・文/田辺ユウキ 写真/南平泰秀

盛山「お笑いも新時代ですよ」

──テレビ、ラジオへの出演ほか、YouTubeチャンネルやTwitterなどのSNS媒体、さまざまなコンテンツを連日のように更新していらっしゃいますね。これだけ忙しいなか、スケジュール調整も大変でしょうし、何よりそこまでやれるモチベーションがすごい。

盛山:YouTubeはやっているうちにいつかモチベーションが下がると思ったんです。だから「2021年は150本の動画をアップする」と宣言して、そのモチベーションで続けています。・・・でもこの前計算してみたんですけど、今年150本は90パーセント無理です(笑)。

リリー:でも、もっといろいろやっているヤツもいっぱいいますよね。僕らはまだ少ない方じゃないかな。だから「もっと、たくさんやらんといけん」と思っています。今って、TikTokが一番影響力があるんやろ?芸人だとアインシュタインさんもやってるし。

盛山:うん、言われてるよな。でもコメント欄がサンパウロ(犯罪率が世界有数と言われているブラジルの都市)くらい治安悪いと聞いてたんで、先頭たって(TikTokをすることについて)反対してたんです。でも歌手の瑛人さんもそうだし、TikTokから売れていくことがたくさんあるじゃないですか。だから影響力ではYouTubeを超えてくるんじゃないかな。

リリー:TikTokで漫才をやって、それでハネてから芸人になるヤツも出てきそうやもんな。

盛山:あ、今のNSCの生徒ですでにおるみたいやねん。名前は忘れたけど、世界中からフォロワーがおるヤツがいて。あと、YouTubeですでに登録者数10万人ってヤツもいるし。だからお笑いも新時代なんですよ。僕たちも、TikTokをやる日がくるかもしれないです。ちなみに自分のTikTokには、やたらエッチなコの動画ばかり流れてくるんですけど、あれって僕がそういうのばかり見ているから、AI機能で勝手に判別して上がってくるんですね。

──そうだと思います(笑)。

盛山「リリーは僕を馬車馬のように扱う。痛みと共に生きています」

──そういえばラジオで盛山さんがリリーさんに、「これからは質の悪い女遊びはやめろ」などと注意していらっしゃいましたね。逆にリリーさんは、盛山さんに言いたいことってありますか。

リリー:最近、モリシがちょっと高めのところから落ちてケガをしたんです。だから「落ちるのをやめてくれ」と(笑)。仕事に影響が出ちゃうんで。

盛山:それは相方に限った話ちゃうやろ、人全般に言えることやろ(笑)。でも実際に、僕はいつも痛みを背負って生きてるんです。今は靭帯を痛めてて、スロイジ(『2時45分からはスローでイージーなルーティーンで』)の初回放送のときも「運動してください」と言われたけど無理で、ふざけるしかなかった。歯も虫歯で頭痛持ち、目も痛い。『北斗の拳』のケンシロウと一緒で、痛みと共に生きているんです。

──盛山さんからリリーさんに、あらためてお願いしたいことはありますか。

盛山:こいつ、僕ひとりに仕事をさせようとするんですよ。

リリー:いやいや、それはちゃうねん(笑)。マネージャーから「モリシがひとりでやれそうやったら、行ってもらって」って言われるから、向こうの要望やねん。嫌やったら断ったらええやん。

盛山:それがおかしいやろ(笑)。僕、ホンマは打ち合わせも苦手なんです。そういうのもリリーはすべて僕にやらせてくる。上の人との付き合いとかあるじゃないですか。飲みの席とか。全部、僕がやるんですよ。馬車馬のように扱われています。そんで自分は家でゆっくりと、知らんオネーチャンとエエことしてるんですわ。馬車馬にしないで、と言いたいです。

──馬車馬のように働いていらっしゃるからだと思いますが、先日、盛山さんはnoteに「大阪に帰ってきて、30分だけ家に帰ることができてホッとした」と書いていましたね。

盛山:僕の「ホテル暮らしシリーズ」の話ですね。あのときは本当に忙しくて、東京のホテルに5連泊して、合間に大阪に帰って。自分の時間はホンマに30分くらいしかなかったですね。マネージャーが東京の現場に来れないときがあって、事前に時間と住所を渡されて、何の仕事かわからんけどスタッフさんに説明されて、終わったら次に送り出されるんです。

リリー:僕は、ホテル暮らしにはだんだん慣れてきました。最初のころは精神的にしんどいところもあったんですけど、今は前よりリセット出来るようになったというか、だいぶ楽。だからどんな場所でも落ち着いて仕事ができるようになりましたね。

リリー「『東京進出』に、これといった答えはない」

──ちなみに最近、取材で「見取り図はいつ東京進出するんだ」と必ず質問されますよね。YouTubeの番組内でリリーさんの元バイト先の店長、樫本さんは「もうちょっと大阪にいてね」とおっしゃっていましたけど。でも核心は喋らないというか。

盛山:で、喋らないことをこの前、番組で東野(幸治)さんに怒られたんですよね。「お前ら、番組ごとに答えを変えて詐欺してるやろ」って。

リリー:でもホンマにそのまんまなんです。特にこれといった答えはないんですよ。

盛山:かまいたちさん、和牛さん、アインシュタインさん、ミキは上京したけど今でも大阪でよく見るじゃないですか。そうなったら東京、大阪とか垣根なんてない。それは僕らも同じであって、仕事で呼ばれた場所に行くだけ。東京芸人とか大阪芸人ではなく、「吉本芸人」なので。仕事のある場所に行くという、シンプルにそれだけなんです。

──2019年のM-1前に取材をさせていただいたとき、「千鳥さん、ダイアンさんのように大阪で天下を獲ってから東京に進出するのが一番格好良い」とおっしゃっていました。見取り図はその理想形に近い気がします。

盛山:そう言ってもらえるのはとてもうれしいです。ただ、よく「ポスト千鳥」「ポストかまいたち」と表現してもらうこともありますが、自覚はないんです。番組によっては第7世代にも位置づけられるし。そういう風に、いろいろと言ってもらえることはうれしいですけど。

リリー:でもそれって、やっぱりM-1の凄さですよね。

盛山:最終決戦に残るとこんなに違うのか、という実感はあります。

盛山「スベったらダイレクトに反応がくる。それが楽しい」

──2020年のM-1以降、さらに大阪以外の仕事も増えてきたと思うんですが、芸人さんのなかには「大阪のお客さんは笑いに厳しいから、自分たちを高めるためにも大阪での仕事は外せない」と話す方もいらっしゃいますね。

盛山:僕の場合は生まれ育った場所ですから、そもそも大阪が好き。大阪というより、大阪の劇場ですね。東京での仕事も確かに増えてきたけど、大阪の「よしもと漫才劇場」、「なんばグランド花月」を盛り上げ続けたいです。

リリー:「大阪のお客さんは笑いに厳しい」とよく言われるけど、僕らはそこで育ったから、それが普通なんです。厳しいとも感じないし、むしろ落ち着きますね。

盛山:あと大阪だとスベるときはちゃんとスベる。それが気持ち良かったりするんです。

リリー:あ、確かにそういう環境って大事よな。

盛山:最近の話なんですけど、ネタではなく、平場でめっちゃスベったんです。シチュエーション大喜利みたいなコーナーを若手とやって、1分間スベり続けた。でも変な話なんですけど、最高でしたね。「うわ、こんなスベったんや」って。テレビじゃ分からない、ダイレクトに反応がくる劇場の良さを感じました。それが楽しいし、これからも劇場でネタはやり続けたいですね。

 【見取り図】大阪・難波の「よしもと漫才劇場」に所属、2018・19・20年と3年連続『M−1グランプリ』ファイナリスト。盛山はラップ講師をつとめ、月刊誌『小説幻灯』でエッセイを連載。リリーは美術の教員免許の資格を活かしアート連載を持ち、ブランドとコラボしたイラストやデザインなども手掛けるなど、2人とも幅広く活躍。

YouTube『見取り図ディスカバリーチャンネル』は登録者数20万人を突破し、2021年は「動画アップ150本」を公約にあげ、現在も更新中。この春からは『2時45分からはスローでイージーなルーティーンで』(カンテレ)で月曜MC、全国ネット『ラヴィット』(TBS)の水曜レギュラーを務める。