4月5日より「梅田芸術劇場メインホール」で上演されている『エリザベート TAKARAZUKA25周年スペシャル・ガラ・コンサート』。7日には元宙組トップスター・朝夏まなとを中心とする「フルコスチューム’16宙組バージョン」が上演され、ライブ配信もおこなわれた。

宝塚歌劇団専科の悠真 倫や、多くの卒業生が世代を超えて集結した今コンサート。フルコスチュームバージョンは2014年花組版と、2016年宙組版があり、上演当時のメンバーを中心に、全員扮装しプロローグから最後の「愛のテーマ」までを通して熱唱する。

ライブ配信では現役当時と同じコスチュームの意匠や、細かな表情まで楽しめるのがポイント。7日配信の舞台では、朝夏トートの黒いマニキュアを塗った指先の動き、元宙組トップ娘役の実咲凜音が演じるエリザベートのキラリと光る涙まで確認できた。

朝夏は『エリザベート』20周年の節目に登場した9代目のトート。鬘は宙組カラーの紫色に輝く、ストレートのロングヘア。5年を経て再びその姿で現れ、一気にタイムスリップしたが、プロローグでは少し伏し目がちで、どこか艶めかしい両性具有的な表情と声のトーンに、5年前とはまた違う美しさを感じさせた。

その後、朝夏は力強く歌い上げてエリザベートを死へと誘惑、2幕の「愛と死の輪舞」では自らの愛の深さをかみしめるように切々と歌うなど、緩急をつけてトートを描出。歌声も表現力も進化していた。

実咲凜音は透明感ある声にプラス、地声も活かしたような歌唱が、よりエリザベートの強い意志を表していた。ヴィンディッシュ嬢(玲実くれあ)との魂の掛け合いも印象的で、ラストの晴れやかな表情に心洗われる。

フランツ・ヨーゼフ役は元星組トップスターの北翔海莉。エリザベートに向ける明るい笑顔にハッとさせられた青年期から、深い悲しみを佇まいにまでにじませる老年期まで、細かな芝居と美声で皇帝の生き様を丁寧に表現していた。

さらに、冒頭から物語を頼もしく引っ張っていったルキーニ役の宇月颯、怖いぐらいの威厳と揺るぎない歌声を披露したゾフィー役・純矢ちとせ、硬質なノーブルさを醸し出したルドルフ役・蒼羽りく、艶やかさと低めの声で驚かせたマダム・ヴォルフ役の大月さゆなど、キャスト全員が宝塚で培った華と実力で、シンプルなセットのなか『エリザベート』の世界そのものを息づかせた。

朝夏はカーテンコールで、「豪華な生のオーケストラ演奏で、この素敵な作品をみなさまと共有でき、本当に幸せでした」と感無量の様子で挨拶。大阪公演は4月11日まで。東京公演は「東急シアターオーブ」にて4月17日から5月5日まで。ライブ・ビューイング、ライブ配信は千秋楽まで複数回予定されている。

取材・文/小野寺亜紀