日本を代表するファッションデザイナーで、今も精力的な活動を続けるコシノヒロコ。彼女の大規模な展覧会『コシノヒロコ展 EX・VISION TO THE FUTURE 未来へ』が、「兵庫県立美術館」(神戸市中央区)で開催されている。

歴代コレクションから厳選された約250点と、彼女にとって創造の根幹を成す絵画作品約200点を、14のコーナーで展示する本展。興味深いのは、それらを時代順に並べるのではなく、広大な空間にインスタレーションとして展示していることだ。また、歴代コレクションは発表当時を再現するのではなく、コシノ自身が今現在のセンスで、着こなしなしや組み合わせなどのコーディネートを施している。

コシノは本展について、「この展覧会を構想したのは5年前です。元々は、自分のこれまでの仕事をお見せしたい、子どもたちにバトンを渡したいという気持ちでした。しかし、今はパンデミックでダメージを受けた世の中や人々を勇気づけたい、この展覧会で元気にしたいと、気持ちに変化が生じています」と述べている。

展覧会名の「EX・VISION」は造語で、「ビジョンをEX(外に)開く」という意味がある。コシノが放つポジティブなエネルギーを浴びて、前向きな一歩を踏み出そう。本展にはそんなメッセージが込められている。

また、会場の「兵庫県立美術館」が、建築家・安藤忠雄の設計であることにも注目だ。コシノは安藤建築の自宅で数々のクリエーションをおこなってきた。本展の会場にこれ以上ふさわしい場所はないだろう。同展の開会式に参加した安藤は、「私が出会った人のなかでも、コシノさんほどエネルギーを感じる人は少ない」と述べ、「パンデミック後、我々には『夢と希望』が必要だ。この展覧会を見て、それをしっかりと胸に留めて帰ってほしい」と本展を後押しした。

2021年に『コシノヒロコ展』がおこなわれる事実。そこにはひとつの美術展を超えた大きな意味があるのかもしれない。期間は6月20日まで、一般1800円。なお、本展は日時指定の予約優先制となっている。お出かけ前に公式サイトのご確認をお忘れなく。

取材・文/小吹隆文(美術ライター)