映画『いのちの停車場』の記者会見が大阪市内で18日におこなわれ、初の医師役をつとめた女優の吉永小百合がコロナ禍での医療状況への思いを語った。

吉永が演じたのは、東京の救命救急医を辞職し、実家・金沢で在宅医として再出発する白石咲和子役。家族など大切な人たちに見守られながら「逝く」大切さが描かれている。

2020年春は役作りのために病院を訪問する予定だったが新型コロナの感染拡大で中止に。「悶々していました。しかし、初夏くらいに救命救急と在宅医療の先生が東映の撮影所へ来てくださって丁寧に教えていただきました。治療でもジャンルに違いがあることを知り、二役を演じた気持ちです」と役を通して発見があったという。

さらに吉永は「在宅医療は生きるために治療するというよりも、より良い命の終わり方をするために(患者に)寄り添うことを知りました。私の父は脳死状態になり、3カ月間病院にいたのですが、娘としてどういう判断をして良いか分からなかったことを思い出しました。結局は一番つらい別れになったのですが、在宅医療のことが分かっていればもっと選択肢が広がったはず」と振りかえった。

また、吉永は作品内容と現在のコロナ禍を重ね、「ラストについて考えているとき、志村けんさん、岡江久美子さんという私が一緒に仕事をしていた方たちが、ご家族に会うこともできず亡くなられた現状を見せられて・・・。だからこそ、(役・咲和子が)父のためにできることはなんだろうと撮影中は悩みっぱなしでした。その悩みを役に出したら良いんじゃないかと思って演じましたが、答えは見つかっていません」と、ラストはさまざまな解釈ができると語った。

現役医師である南杏子氏の同名小説を実写化した映画『いのちの停車場』には、松坂桃李、広瀬すず、南野陽子らも出演。5月21日より全国公開。

取材・文/田辺ユウキ