歌舞伎俳優・市川海老蔵が、歌舞伎のファン層を広げるため、わかりやすい古典作品を全国10カ所以上で巡演する自主企画『秋の特別公演 古典への誘(いざな)い』。9月4日から始まる全国ツアーを前に20日、海老蔵が東京都内で会見をおこなった。

「地方にいても本格的な歌舞伎が見られる」という、喜びの声が数多く上がっている同企画。今回上演する『三升先代萩(みますせんだいはぎ)』は、江戸時代に起こった跡目争い「伊達騒動」を描いた時代物の名作『伽羅(めいぼく)先代萩』がモチーフ。海老蔵は「女形の最難役」とも言われる乳母政岡(めのとまさおか)を含め、7役を早変わりで演じ分ける。

「いつもは立(男)役専門でやってますので、(政岡のような)女役に対してハードルが高くなるんです。また旅巡業は日々劇場が変わって、裏で走る動線も変わるので、本当にどうなるかわからない。かなり条件が厳しいなかではありますが、自分としての挑戦、または実験のような公演になるかと思います」と、見どころを語った。

来年で10年目を迎えるこの企画。コロナ禍で延期されている「十三代目市川團十郎白猿(はくえん)」襲名に触れ、「もし襲名していたら、一区切りとして(『古典への誘い』を)止めていたかもしれない」という言葉も。

しかし「今回の演出は、五代目(團十郎)が作り七代目が引き継いだものの、200年ほどやってなかったもの。今現在を生きている私がそれをやるというのは、10年目を迎える節目だからこそだと思うし、今これをやれることは、本当に意義があると思います」と意気込んだ。

『三升先代萩』は、市川右團次、片岡市蔵なども出演。神戸公演は9月18日に「神戸文化ホール」(神戸市中央区)、大阪公演は9月19日に「フェスティバルホール」(大阪市北区)で上演。チケットは両都市とも、S席1万2000円、A席8500円で、現在発売中。

取材・文/吉永美和子