共通のテーマに関する芸人が集まり、ニッチなトークを繰り広げる人気番組『アメトーーク!』(テレビ朝日系)。来たる10月21日放送の「よしもと漫才劇場芸人」回に向けて、コロナ前は週5でお笑いの劇場に通っていた現役女子大生が、「よしもと漫才劇場(通称:マンゲキ)」(大阪市中央区)について解説します。

「マンゲキ」とは、吉本興業所属の若手芸人がしのぎを削る吉本のハコ。同様の劇場として、かつてはダウンタウンを筆頭にイベントをおこなっていた「心斎橋筋2丁目劇場」(1968〜1999)や、千鳥や笑い飯らが活躍していた「baseよしもと」(1999〜2010)などがあり、同劇場は2014年に閉館した「5upよしもと」を引き継ぎ、同年にリニューアルオープンした。

「マンゲキ」を主戦場としているのは現在、ミルクボーイと見取り図を筆頭に、祇園や吉田たち、令和喜多みな実などの中堅ベテラン郡、『キングオブコント』決勝進出経験のあるロングコートダディやニッポンの社長、滝音といった実力派コント師など、勢いのある芸人たちが中心。

画面越しでは伝わらない、劇場「ならでは」の魅力

まず、「マンゲキ」の魅力として挙げられるのは、その「気軽さ」。最近はテレビ以外にもYouTubeや各種配信サービスなど、お笑いに触れる手段は増えているが、やはり劇場で観る生の漫才やコントには、また違った楽しさがある。

芸歴8年目以下の若手(翔メンバー)が出演する『Kakeru翔LIVEプラス+』であれば、前売が1000円、当日でも1300円なので、関西圏であれば交通費を考慮しても、映画館に行くぐらいの心持ちで生のお笑いを体感できる。

また、笑いの殿堂「なんばグランド花月(通称:NGK)」のキャパが約900席であるのに比べると、305席とかなりコンパクトで、最後列からでも舞台との距離が近いのもうれしい(現在は感染症対策で両劇場とも前2列は空席)。そして「NGK」は「マンゲキ」のすぐ前にあるため、出番の多い芸人の移動中に遭遇することもままあり、「上方漫才のお膝元」の雰囲気を味わえる。

意外な発見も、「ユニットライブ」でマンゲキ沼へ

「マンゲキ」所属芸人の「ユニットライブ」に定期的に通うのも、楽しみ方のひとつ。今回スタジオゲストのさや香は、コウテイ、ダブルヒガシとのユニット 『NEO OSAKA』を毎月主催。それぞれのネタはもちろん、趣向の凝らされたオープニングVTRや、アヴァンギャルドなコーナーも見応え抜群だ(筆者が一番好きだったのは、TOKIOの城島さんが結婚したときにあった「城島茂おめでとう」というコーナー)。

ほかにも、ミキ、霜降り明星はかつて、ゆりやんレトリィバァとのユニット『よしもと the NEXT』に出演、ニッポンの社長、マユリカ、kento fukayaからなる『深本リカ』などもある。

土日の寄席公演で気になる若手芸人を発見、その芸人さんが出ているユニットライブに行ってみる、定期開催であれば通う、ユニット相手のネタが気になる、その芸人さんが出ているライブに行ってみる・・・というようなサイクルで、今最も勢いのある若手芸人が生き残りをかけた熱い戦いを毎日観ることができる。

『M-1』に対する、芸人たちの熱い思いを直に

霜降り明星とミルクボーイなど、今やチャンピオンも多数輩出し、毎年ファイナリストに多数のマンゲキメンバーが名を連ねる祭典『M−1グランプリ』。予選期間に「マンゲキ」のライブを見に行くと、『M-1』勝負ネタに改良が加えられるさまがリアルタイムに感じられる。ただの一観客のはずなのに、3回戦、準々決勝と進んでいくにつれて緊張が増し、結果発表のたびに一喜一憂するようになる。

そして、所属芸人が賞レースの決勝に進出したり、優勝した際には劇場の入り口に華やかな顔写真を飾る慣習に、「マンゲキ」の温かいホーム感が垣間見える。また、賞レースを制した際には芸人オリジナルグッズも販売され、トートバッグやマグカップなどのスタンダードなものから、何が育つかわからない種(コウテイ/『こどもえびす第40回マンザイ新人コンクール』)やトランプ(ミルクボーイ/『M−1グランプリ2019』)、ハンドスピナー(さや香/『第49回NHK上方漫才コンテスト』)など、クセの強いラインアップが展開されてきた。

「マンゲキ」とは、所属芸人にとってどんな場所なのか

芸人に対する温かさも魅力だが、芸人同士が競い合う場としての機能も果たす「マンゲキ」。偶数月にはバトルイベントが開催され、芸歴9年目以上の所属芸人(極メンバー)は『グランドバトル』、翔メンバーは『kakeru翔GP』に出演する。それぞれスタッフと現場の観客による投票で順位が決まり、特に『グランドバトル』は毎回三部に渡って実施され、ボリュームも見応えも満点で見る側にもエネルギーが必要だ。直近のライブでの覇者はロングコートダディ。コント師として名を馳せる彼らだが、今回は漫才で優勝し、ファンをざわつかせた。

今や関西の劇場番長、見取り図・盛山は「Lmaga.jp」のインタビューで、「東京での仕事も確かに増えてきたけど、大阪の『よしもと漫才劇場』『なんばグランド花月』を盛り上げ続けたいです。テレビじゃ分からない、ダイレクトに反応がくるのが劇場の良さですね」と語っている。単独ライブも多く開催される「マンゲキ」では、劇場楽屋でネタ作りをする芸人も多い。過ごす時間の長さも、劇場愛の深まる一因ではないだろうか。

東京進出やバトルライブの戦績、ときには解散によって、マンゲキ所属芸人の顔ぶれは日々変化している。ライブすべてに共通することだが、出演者、ネタの組み合わせ、掴みの内容などは、その日その時にしか見ることができない。ある種、学校のような性質もあるように感じられる「マンゲキ」。劇場に直接足を運びたいが、最近の状況もあるので、配信ライブも上手く活用しながら、その雰囲気を味わってみるのもおすすめだ。

そんな「マンゲキ」で、かつて鎬を削っていた卒業メンバーや、今を支える面々のトークに期待を寄せるファンも多い。10月21日・深夜0時30分からの『アメトーーク!』放送が待たれる。

文/フジタミナミ