『ギャングキング』『セブン☆スター』といったヤンキー漫画のカリスマとして人気を誇る柳内大樹による青春漫画『軍艦少年』。それを実写化した映画が12月10日に公開された。主人公・海星を演じるのは劇団EXILEの俳優・佐藤寛太。作品や自身の役柄について話を訊いた。

■ とにかく、この役を演じたいって思った

──本作は、母(大塚寧々)を亡くして喧嘩に明け暮れる海星(佐藤寛太)と、失意から酒におぼれる父・玄海(加藤雅也)が生きる意味を見出していくという、親子の喪失と再生を描いた物語です。撮影は2019年におこなわれたそうですね。

そうです、コロナなんて知らなかったときです。でも、本当にやりたい作品だったので、そのときの気持ちは今も鮮明に覚えてますね。

──キャストが決まる前、佐藤さん自らYuki Saito監督に会いに行ったとか。

オファーが来ていたけど、確定ではなかったんです。でも原作を読んで、「絶対やりたい!」と思って監督に直接会って伝えました。そんなことをしたのは、今回が初めてじゃないかな。演じた海星みたいに、あんなにキレイでまっすぐじゃないですけど、自分が信じたことを猪突猛進にやっちゃう感じとか、エネルギーの捌けどころを持て余しているところとか、撮影当時の23歳のときの自分に被るものがあったのかも。

──23歳の佐藤さんだからこそ、寄り添えた役だったんですね。

それは間違いないです。当たり前なんですけど、その歳の役ってそのときにしかできないじゃないですか。だから僕も22、23歳のときの自分を作品に残せなかったら、そのときの自分がどこにも消化されないままフワフワしちゃうっていうか・・・そんな気がどっかでしてた。

だから自分がやりたいと強く思った作品で、23歳のときの自分を映像に残せたっていうのは、俳優としてすごく幸せなことだなと思います。

──撮影はコロナ前でしたが、ようやく公開されました。でも作品のテーマである「大切な人を思いやる気持ち」「それぞれの心の拠り所」など、今だからこそ改めて考えさせられるなと。

その視点はまったくなかったんですが、なるほど。でも映画って公開されるのが当たり前じゃないんですよね。何か社会的な問題が起こったり、資金的な面とかもあって、公開されない映画なんていくらでもある。そんななかで、自分が主演させていただいてたくさんの人に観てもらいたい、評価されてほしいと思った作品が公開の日を迎えて良かった。

■ 名刺代わりになるような作品に

──このインタビューとは別に、主題歌『軍艦少年』を歌う卓真(10−FEETのTAKUMA)さんの取材もしたんですが、卓真さんは赤井英和さん演じる巌のような友人が欲しいとおっしゃってました。

えー! 映画で流れる『軍艦少年』、めちゃくちゃ良い曲ですよね。卓真さんにお会いしたことないんで会ってみたいなぁ。巌、確かに良いですよね。いや、もう巌役の赤井さんってすごいんですよ。めちゃくちゃ裸で生きてるっていうか、本人の人生が演技に出ていて本当にすごいなって。

──赤井さん、清水美沙さん、そして両親役の加藤雅也さん、大塚寧々さんのほかは、山口まゆさんや濱田龍臣さんなど同世代の共演者も多かったですね。撮影現場の雰囲気はどうでしたか?

すごくよかったです。でも、これまで出た作品の座長だったり、劇団EXILEの先輩たちにしていただいたことは覚えてるから、自分が座長になったときにどうすべきかとか考えはあったんですけど、今回は活かせてないかな(笑)。龍臣は年下だけど先輩だし、まゆちゃんもしっかりしてるから、なんなら自分が年下のような気がしていましたね。

──今年もドラマや映画、舞台などさまざまな活躍だったと思いますが、2021年を振りかえっていかがですか?

趣味と仕事とすごく良いバランスでやれた1年だったと思います。そして『軍艦少年』も公開された。これまで共演する俳優さんに、「寛太っていえばどれを観ればいいの?」って言われてちゃんと答えられなかったんですよね。どれでもいいですって感じで。でも『軍艦少年』は「この映画をやったんで観てください!」って言える作品になったと思います。

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世界文化遺産登録後初となる映画撮影を敢行した「軍艦島」など舞台・長崎の自然溢れる映像も魅力の同作。12月10日から「シネ・リーブル梅田」ほか全国で公開中。

取材・文/Lmaga.jp編集部 写真/木村華子