4月29日に開幕する『Warai Mirai Fes 2022』に出演する、お笑いコンビ・天才ピアニスト(竹内知咲、ますみ)。今回は同イベントの軸である「SDGs(持続可能な開発目標)」の目標のなかのひとつ「パートナーシップで目標を達成しよう」になぞって、コンビの関係性について話を訊いた。

取材・文/田辺ユウキ

「『楽しくない』くらいやらなきゃ売れない」と考えて(竹内)

──女芸人のナンバーワンを決める『THE W 2021』では準優勝の実績を持ち、今や実力派のおふたりですが、過去にNSC時代も含めると、竹内さんは4度、ますみさんは3度と、それぞれコンビ解散を経験されているんですよね。

ますみ:解散理由はそれぞれあるんですけど、私は笑いに対するコンビ間の温度差の違いが原因で。自分はネタ合わせがあればそれが最優先で、時間をかけてネタを詰めていきたいタイプだったんです。でも当時の相方は練習時間になっても同期の芸人とわいわいしてたり、ネタ合わせよりも遊び優先みたいな感じで。それがしんどくなって、解散したことがあります。

竹内:笑いに対する熱量の差が解散の原因になることって多いよね。私は自分の書いたネタじゃないと嫌だったんですけど、そのネタを当時の相方が飲み込めないことが多かったんです。きっとみんな楽しい感じでお笑いをしたいタイプだったのかなって。私は「楽しくないくらいやらなきゃ、売れない」と考えていたんですけど、そこが合わずに解散することがほとんどでした。

ますみ:今はそこの温度差がなく、7年続いています。

竹内:でも、仲が良すぎて言いたいことが言えないとかはイヤなので、そこはドライに事実を述べあっています。そこが言えなくなったら良くないですよね。

ますみ:あと竹内は、単独ライブ前とか劇場に遅くまで残ってネタを書いているんです。翌朝6時に集合だったとしても、前日の深夜3時くらいまでネタを考えていたり・・・。だから「ネタができた」と連絡がきたら、寝ていようがビールを飲んでいようが、「ありがとー!」って万歳している絵文字を必ず送るようにしています。

竹内:私はネタを書きたいし、そのためにお笑いの世界に入りました。私たちは元教師と看護師なので、本来であればその資格を生かして世のなかの役に立った方が良いはず。でもそうではなく、好きなことをやらせてもらっている。お笑いって誰かに頼まれてやるものじゃないですし、ネタもちゃんと書けないようじゃ終わりなんです。自分から始めたことなので、それがちゃんとできないのは嫌で・・・。

──お笑いに向き合う温度感がぴったり合っているんですね。現在は、毎日深夜0時にYouTubeでラジオ、ますみさんは自身のSNSで「看護師あるある」をこちらも毎日アップ、単独ライブも毎月、4月は2回も開催され…お2人は持続的な努力がすごいですよね。

竹内:こんなことを言うと嫌味っぽく聞こえるかもしれんけど、若手の子を見ていて「よくそんなに遊ぶ時間あるな」って思うんです。

ますみ:遊ぶことが決して悪いわけじゃないけど、でも「そんなにしょっちゅう、テーマパークに行けるもんなん? しかも年パスまで持ってるんや!」って(笑)。

竹内:テーマパークにめちゃくちゃ行く芸人ほど、賞レースで負けたら「来年こそは」って書いてる。若手芸人あるあるですね。でも「負けたら黙ってネタを書いとき」って感じです。ただ、遊びに行ってそこでネタが生まれることもありますし、逆に私らは仕事ばかりで視野が狭くなっている可能性もある。結局、ネタがおもろければ良いんですよね。

「モノマネだけじゃなく、ネタが追いつくと信じていた」(ますみ)

──コンビの経歴としては、まずますみさんが上沼恵美子さんのモノマネでブレイクしましたよね。竹内さんは「じゃない方芸人」として見られるようになり、それをネタにしてYouTubeチャンネルなどで「じゃない方芸人あるある」もアップされています。

竹内:ますみがファンの方に写真を頼まれたとき、私も一緒に写って良いのか分からず、微妙な距離感になったりしてね。「竹内さんもぜひ」と言われたら、「え、私のことを知ってんねや」って感じで。あと、とりあえず「私が撮りましょうか」と言うようにしていました。

ますみ:あと、これも「じゃない方芸人あるある」のネタで出しましたけど、テレビ局の方が打ち合わせのとき、私しか見ていないこともあって。竹内にしゃべってもらわなアカンことがあっても、ずっと私ばっかりで。

──そういうときは複雑な気持ちがわいてくるものですか。

ますみ:それはありましたね。もちろん、企画内容によって上沼さんのモノマネで出た方が良い場合もあります。ただ「これから期待のコンビ」みたいな企画のときに「上沼さんのモノマネで出てください」とピンで声をかけられると、「なんで私だけ?」と疑問が生まれたりはします。やっぱりコンビで呼んでほしいですから。

竹内:モノマネで出る必然性がない場面で「上沼さんでお願いします」となったとき、「あ、やっぱりまだコンビとして信頼されてないんやな」とは思いますね。確かに上沼さんのネタは短い時間でちゃんとオトせるし、撮れ高も計算できる。ロケなんかは、上沼さんのモノマネで行ってもらいたい理由も分かります。それは必然性がありますよね。でもそういうわけでもなく、とりあえず「上沼さんで」となると「信頼ないんやろうな」って。

──そういう状況に多々直面してきたと思うんですけど、竹内さんのモチベーションに影響を及ぼすことはありませんでしたか。

竹内:それがまったくなかったんです。逆に「ピンでやれ」と言われたら自分は無理ですし、ひとりで仕事をしているときのますみの大変さも知っていますから。あとシンプルに、モノマネができるのはコンビとしてメリットしかない。上沼さんのモノマネが誕生した時点で「バラ売りになるやろうな」と予測もできていました。その間、私はコンビのネタをちゃんと書いていこうって。

ますみ:モノマネをやりたくないわけでもないですけど、私自身、それだけで一生やっていくつもりも全然なかったんです。絶対にいつか自分らのネタが追いつくと信じていました。

竹内:たとえばオードリーさんは、春日さんがまず強烈なインパクトを残したけど、若林さんがしっかりとネタを書き続けて、そしてコンビとしてトップに上り詰めましたよね。そういう道筋があることを示してくださったので、「私らもいずれ」という気持ちでした。だから一瞬の焦りとかもなかったですね。

ますみ:芸歴2年目くらいのときにモノマネで出始めたけど、確かにそのときはコンビとしてのネタが伴っていなかった。でも現在は感触が違います。いずれは、私らのネタを見てもらったあと「天才ピアニストって、上沼さんのモノマネをやってた子のコンビなんだ」と言ってもらえるようになりたいです。

──昨年の『THE W』ではそういう声もあがっていたように思います。

竹内:今後の目標の話にもなるんですが、そういう意味ではやっぱり賞レースで1位を獲らなきゃいけないなって。『THE W』はもちろんですけど、女性芸人とかそういう枠組みではなく、シンプルに全芸人のなかで1位を目指しています。まずは『キングオブコント』や『M-1グランプリ』、すべての大会で決勝に出られるくらいになりたいですね。

ますみ:よしもと漫才劇場のポスターがあるんですけど、そこに載っているのは賞レースを獲った芸人ばかり。あのなかに入るのが大目標です。そのためには、劇場公演でもちゃんと結果を残さなきゃいけない。毎月やっている劇場の単独ライブも、チケットの売れ行きはまだまだ。劇場側が告知を一発しただけで完売できるくらいのコンビになって、そしていずれ全国ツアーをまわりたいです。

天才ピアニストらが出演する、大規模イベント『Warai Mirai Fes 2022 〜Road to EXPO 2025〜』は、4月29日より3日間「万博記念公園」(大阪府吹田市)で開催。SDGs(持続可能な開発目標)の達成を旗印に、大阪の笑いやグルメ、音楽が楽しめる。