ベトナム戦争を題材にした名作ミュージカル『ミス・サイゴン』。2014年からヒロイン・キムを演じてきた昆夏美と、今回初めてエンジニア役をつとめる伊礼彼方の会見が、4月25日に大阪市内でおこなわれ、お互いの印象を楽しげに語り合う場面があった。

これまでさまざまなミュージカル作品で、同じ舞台に立つ機会はあったものの、『ミス・サイゴン』では初の共演となる2人。昆は伊礼のエンジニアについて「最初の登場シーンで、伊礼さんが手を広げたときに、華と色気がすごかったんです。ギラギラというよりも、華やか」と、これまで何人ものエンジニア役の役者と、一緒にやってきたからこその評価を。

そして伊礼に「先輩に色気とか言ってすいません」と謝ると、伊礼はすかさず「いや、言って言って!(記者たちに)大文字で書いてもらうから!」と返して、笑いを誘った。

一方伊礼は、10年ほど前に昆と共演したときの印象を「何もしなくても花がポンと咲く。立ってるだけでお花畑です」と振りかえるとともに「31歳になった今でも、あの頃のように、うぶな少女を演じられるのがすごい。10年も経てば、人ってピュアじゃなくなるじゃないですか? それなのに、誰にも抱かれたことがないような女性の表情を出せるのは、素敵だなあと思います」と称賛した。

初めてキムを演じた20代前半の頃は「子どものために自分の人生を捧げる」という感覚を、なかなかつかめずに苦労したという昆。それを受けて伊礼は、昆の「子どもの抱きしめ方」を楽しみにしていると言う。

「僕は観劇するときに、俳優さんが相手役を抱きしめるときの抱き方に、ものすごく注目しています。そこに俳優の愛情や家族とのつながり、役をどこまで掘り下げているか? というのが見えるので」と期待を語る。

その言葉に思わず「・・・怖っ!(笑)」と応えた昆。「知念(里奈)さんと同じ時期にキムをやらせてもらったときに、知念さんは(キムの子どもの)タムを吸い込むように抱くんですよ。すごくナチュラルに抱いているのを観て『私、これできない』と思いました」と、やや弱気になりつつも、伊礼に対して「今回はそれができるよう頑張りますので!」と、前向きに語った。

キム役は昆のほかに高畑充希と屋比久知奈、エンジニア役は伊礼のほかに市村正親と駒田一と東山義久が演じる。9月9日〜19日に「梅田芸術劇場メインホール」(大阪市北区)で上演。チケットはS席1万5000円ほか、6月19日から発売。キャストスケジュールなど、詳細は公式サイトにて。

取材・文/吉永美和子