俳優・段田安則が主役・ウィリーをつとめる舞台『セールスマンの死』。共演の高橋克実&林遣都の取材会が大阪市内でおこなわれ、高橋が一筋縄ではいかない今回の役について語った。

■高橋演じる役柄は「たまにしか出て来ない」

かつて敏腕サラリーマンだったウィリー(段田)が、仕事の行き詰まりや家族との関係に悩んだあげく、悲劇的な選択をする様を描き出す人間ドラマ。高橋が演じるベンはウィリーの兄だが、現実には現れず、ウィリーの幻想のなかだけに登場するという、特殊な役柄だ。

「たまにしか出て来ないから楽に見えるんですけど、エンジンがかかってる所にポーンと入っていくのは、なかなか大変。しかも立ち位置が客観的な所にいるから、ついつい(舞台を)お客さんの視点で観てしまったりするので、のめり込むと場面を忘れそうになります(笑)」と、演じる苦労を明かした。

■海外の演出家と初タッグ、裏話も・・・?

演出を手掛けたのは、イギリスの演劇界で活躍するショーン・ホームズ。高橋は海外の演出家と組むのは初めてだったが、「とにかく明るくてエネルギーが充満している人なので、いい空気感のある稽古場でした」と振り返る。

「ショーンからは『どんな役の人も、それぞれなにかをセールスしている。ベンはなにを売っているのか?』と言われて、それを考えて取り組んできました。また『ベンはウィリーなんです』とも言われたので、(段田さんの)鏡のつもりでやっています。ベンとは脳天気な所が、自分に近いかもしれませんね(笑)」と、演出家を通じて作り上げたベン像を語った。

そうして完成した世界は、高橋自身「演じながら震える部分がある」と言うほど素晴らしいものに。しかし本番直前まで、粘り強く試行錯誤を繰り返すホームズに、困らされた場面もあったとか。

「場当たり(※本番と同じ状況で行う稽古)でもどんどん(演出を)変えるんです。僕はカバンと傘を持って出てるんですけど、一度『カバンを持たないでやってみよう』と言われて。そうしたらものすごく体のバランスが悪くなって、台詞をとちるとちる(笑)。もう大変でした、あれは」と、当時の状況をひょうひょうと語り、会場は笑いに包まれた。

舞台『セールスマンの死』は、ほかに林遣都、鈴木保奈美、福士誠治などが出演。5月19日〜22日に「兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール」で開催される。チケットは1万1500円で、現在発売中。

取材・文/吉永美和子