「劇団四季」が、細田守監督の同名アニメ映画をミュージカル化した舞台『バケモノの子』。12月10日からはじまる初の大阪公演を前に、メディアや一部の観客向けに舞台稽古を公開。2022年の東京初演で、数多くの感動の声が寄せられた作品の全貌が明らかになった。

■ 劇団四季の舞台美術を総動員、圧巻のシーンに釘付け

渋谷の街で乱暴なバケモノ・熊徹に拾われ、「九太」と名付けられた家出少年・蓮。バケモノたちが暮らす「渋天街」で、武術の師匠と弟子として暮らすうちに、種族を超えた関係性が生まれていく物語だ。アニメでないと不可能では? と思えるファンタジックなシーンの多い作品だが、劇団がこれまで培った舞台美術やパペットの技術を結集して、あざやかに立体化してみせた。

とりわけ見どころとなるのは、数々の格闘シーンだ。前半の見どころとなる、熊徹とライバルの猪王山がビーストモードに変身して戦う所は、アジアの獅子舞を思わせる巨大なパペットで表現。また闇を抱えて暴走する猪王山の息子・一郎彦と蓮が、東京の街を舞台に戦うダイナミックな見せ場も、アナログなパペットの技とデジタルな映像技術を組み合わせて、見事に体現している。客席にまで3Dではみ出してきそうな迫力は、舞台ならではだ。

■ 客席が「感情のジェットコースター」に?

ストーリーの方は、原作とほぼ変わらないが、それぞれのキャラクターの心境が歌によってつぶさに語られるのが、ミュージカルの強み。特に一郎彦は、原作ではちょっと唐突に闇落ちをした印象があったけど、舞台ではその悩みや葛藤がダークなメロディで表層化され、衝撃の展開へと自然につながった。また熊徹&蓮のお互いの本当の気持ちも、観客には歌として明らかにされるので、2人の疑似親子愛のような思いが、より明確になったと思う。

とまあ、ここまで原作を知ってる目線で語ってきたけど、原作を知らなければ知らないで、熊徹と蓮のケンカ腰だけどほほえましいやり取りに笑い、蓮や一郎彦が「自分とはなにか?」に深く悩む姿に共感し、乱暴者だった熊徹の変化と最後の決断に目を熱くするという、感情が忙しい観劇体験ができるだろう。まさにキャッチ通り「驚天動地」な心地を体感できる舞台。ロングランではなく期間限定なので、早めに観劇スケジュールを立ててほしい。

公演は2024年5月25日まで「大阪四季劇場」(大阪市北区)にて。料金は一般S席1万2000円〜1万4000円、A席9500円〜1万500円ほか(時期によって変動)。S席・A席は子ども料金の設定あり(小学6年生以下)。チケットは現在、2024年3月31日公演分までを発売中。4月3日〜5月24日(25日は「四季の会」会員限定)公演分のチケットは、12月23日から発売開始。

取材・文・写真/吉永美和子