奈良時代の天平神護元年(765)に称徳天皇により造営された西大寺。同寺の創建1250年を記念して、西大寺と一門寺院に伝わる超一級の仏教美術を集めた展覧会『奈良西大寺展』が、7月29日より「あべのハルカス美術館」(大阪市阿倍野区)でおこなわれています。

「南都七大寺」のひとつとして東大寺などと並ぶ寺格を誇る名刹である西大寺が造営されたのは奈良時代後半で、鎮護国家仏教と平城京が最後の輝きを放った時期でした。鎌倉時代には中興の祖・叡尊が登場。戒律を重視した密教の教え(現在の「真言律」)を広めます。その弟子の忍性は東国で貧者や病人の救済にあたり、江戸時代には大和生駒山・宝山寺を開いた湛海が活躍するなど、日本の仏教に大きな影響を与えてきました。

展覧会は3章で構成されます。第1章「西大寺の創建」では、重要文化財「塔本四仏像」と国宝「十二天像」のうち4幅などが並びます。第2章「叡尊をめぐる信仰の美術」では、国宝新指定の「興正菩薩坐像」、西大寺本堂の現在の本尊である重要文化財「釈迦如来立像」、愛染堂の秘仏本尊で重要文化財の「愛染明王坐像」(8/29〜9/24の期間限定展示)などが紹介され、第3章「真言律宗の発展と一門の名宝」では、京都・浄瑠璃寺の重要文化財「吉祥天女像」(7/29〜8/6の期間限定展示)や奈良・般若寺の重要文化財「文殊菩薩騎獅像」など、一門寺院の名作が集います。

展示総数は約80件。うち国宝が6件、重要文化財が36件という堂々たる内容です。これだけの規模で西大寺と一門の名宝が公開されるのは、1990〜91年の「西大寺展」(奈良と東京で開催)以来ということもあり、仏像ファン、美術ファンは見逃せません。

文/小吹隆文(美術ライター)