建物の改修工事のため、2021年度早期まで長期休館中の「滋賀県立近代美術館」(滋賀県瀬田市)。現在は県内の施設で所蔵作品を公開する「県内移動展示事業」をおこなっている。その第4回目となる展覧会『土からうまれた』が、「かわらミュージアム」(滋賀県近江八幡市)でおこなわれている。

「土」は我々の足もとを支え、食べ物を育み、陶芸の素材にもなる根源的な物質のひとつだ。陶芸の産地・信楽を有する滋賀県では、戦後から障害者支援施設で陶芸をはじめとする造形教育が盛んにおこなわれ、独特の発展を遂げてきた。

それらのなかには「アール・ブリュット(生の芸術)」として、国際的に評価の高い作家もいるほどだ。リニューアル後の「滋賀県立近代美術館」では、新たな活動方針の一つとしてアール・ブリュットを取り上げることになっており、本展は近年の収集作品をひと足早くお披露目する機会となる。

作家は、澤田真一(なかよし福祉会)と、石野光輝や西川智之ら「近江学園」の生徒たち。画像を見れば分かるが、きわめて独創的な形態をしており、実在の動物、想像上の生き物、仏性や霊性が感じられる造形など、感性のおもむくままに作られている。人間の創造力の原初に繋がる彼らの表現を通して、芸術とは何か、人間はなぜ表現するのかについて考えたい。会期は3月22日まで、一般300円。

文/小吹隆文(美術ライター)