我々の日常生活に不可欠で、人を人たらしめる重要な要素でもある「文字」と「言葉」。それらとアートの関係がよく分かる展覧会『文字模以言葉(もじもじことのは)』が、「ボーダレス・アートミュージアムNO-MA」(滋賀県近江八幡市)で、2月13日よりおこなわれる。

本展では、ベテラン美術家の今井祝雄をディレクターに招き、自身を含む11名の作品を紹介。たとえば林葵衣は、声を出しながらガラス戸に唇を当てて移動し、口紅の痕跡を作品として提示する。

戸来貴規の作品は独自の文字で書かれた「にっき」。紙の両面に、月日、曜日、天気、気温、名前、出来事を記し、新しく書いた日記を一番上に重ねて紐で綴じられている。

岩崎司の作品は古今東西の文学書や宗教本から着想した絵画と自作短歌の組み合わせで、鋭利な文字と図柄が特徴だ。国谷隆志はネオンサインで文字を書き、台座の上に伏せて展示する。抽象化、物質化した文字は、観客の既成概念を鮮やかに裏切るだろう。

ほかの作家もそれぞれのスタイルで文字や言葉と向き合っており、多彩な表現、造形、メッセージを受け取れる。多くの人は、文字と言葉を文学や音楽に結び付けて考えているのではないか。本展を通じて、アートの世界にも文字や言葉を用いた豊かな世界があることを知ってほしい。期間は5月30日まで、料金は一般300円。

文/小吹隆文(美術ライター)