現存する地球最大の生物、シロナガスクジラ。海洋哺乳類が巨大化した理由は、2018年までは水中の浮力によるものと考えられてきました。ところが、従来の説を覆す新たな事実が分かりました。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、海洋哺乳類が大きくなった本当の理由について解説します。

恐竜よりも重いシロナガスクジラ

オリヴィア・ゴードン氏:シロナガスクジラは存在する最大の動物です。そして、最大の恐竜よりも重いのです。しかし、科学者たちはなぜクジラがそれほど長い間、巨大でいるのかを話し合ってきました。有力な説は、水の中に住んでいると陸で暮らしているよりも浮力のおかげで大きくなれるから、というものです。けれど、そんなに単純なものではありません。

海洋哺乳類は陸上哺乳類よりも体の大きさのせいでさまざまな制約を強いられているのでしょう。科学者たちは、クジラはエネルギーを貯めるために大きくなければならないのだと考えています。

陸上哺乳類は4回にわたり、水中の生活に戻ったことがあります。クジラは古代のカバに似た哺乳類から進化してきました。

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アザラシは犬に似た祖先から進化してきた動物です。

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マナティーとジュゴンは象の進化と繋がっており、ラッコは基本的には単に大きなイタチです。

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海洋哺乳類の巨大化の理由は浮力ではない

2018年まで、多くの科学者は水中での浮力によって、海洋哺乳類は限度なく大きく成長できるのだと考えていました。なぜなら、浮力は骨格の重量を取り除くと考えたからです。しかし、科学者たちが4,000種の現存の哺乳類と3,000種の哺乳類の化石の体のサイズの変化のパターンを調査したところ、もっと複雑なものを発見しました。

4つのうち3つの海洋哺乳類のグループ(クジラ、アザラシ、マナティー)の種は、同じサイズに変化していたのです。これは平均すると、500kgもしくは1,100ポンドでした。これについてさまざまな仮説を検証すると、浮力によって海洋哺乳類は大きく成長できるが、それが大きく成長する理由ではないことがわかりました。

おそらく、体を暖かく保つことと繋がりがあるのでしょう。海水の温度は多くの哺乳類にとって理想的な体温からは低いのですが、体温を奪うという点では、海水は空気よりはまだ良い方です。大きく丸い体は、体積に関して言えば表面積は少なく、極寒の海でも体温が下がるのに時間がかかります。

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きっとみなさんは、海洋哺乳類はどんどん大きく成長していくのだと考えているでしょう。けれど、研究者たちは彼らが大きくなりすぎると、細胞全てに栄養を与えられる程の量を食べる手段がないということを見つけました。500kgというのは、体温を保つのにちょうど良いサイズですが、その巨大な体を維持するのに十分な量を食べることもできるのです。

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ラッコは未だに大きくなり続けている?

しかし、これから外れるものもあるのです。ヒゲクジラはシロナガスクジラのように、繊維質の毛が成長すると、それを使うようになります。なぜなら、濾過摂食は少しのエネルギーで多くのカロリーを摂取するのにとても効率的な方法だからです。

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そして、ラッコは変わり者で500kgにはなりませんでした。

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ラッコは先祖であるイタチよりも大きいですが、他の海洋哺乳類程大きくはありません。それはおそらく、イタチや彼らの体のサイズを制限している近縁生物に何か特別なものがあるか、もしくは体を小さく保っている理由でしょう。

または、ラッコは未だに成長を続けていて、今から1,000年後にはもっと巨大になっているかもしれません。待ってください。ラッコが北極クマほどの大きさになってもすごく可愛いのでしょうか?それとも相当怖いのでしょうか? 私が思うに、怖いでしょうね。

どちらにせよ、ここでわかったことは科学者たちが海の生物について何を知っているのかを再考することに繋がりました。もしみなさんが良い質問をし続ければ、その答えはみなさんが考えているよりも簡単ではないことに気づくでしょう。でも、それもとても素敵なことですね。