静岡県の伊豆半島の沿岸ではレジャー感覚で貝などをとる密漁が後を絶ちません。下田海上保安部のパトロールに密着しました。密漁者が語った動機とは。

レジャー感覚の密漁が増加

透き通る海と砂浜が広がる下田市須崎の海岸。サザエやアワビなどの貝が豊富で、漁師や海女さんによる漁が盛んです。海水浴の穴場スポットとしても知られていますがある問題が…

「これをとっちゃった。しょうがないね」

漁業権のない人による密漁です。

伊豆半島沿岸部では、いわゆる「レジャー感覚の密漁」が増加しています。売買目的ではなく自分たちで消費するために貝をとるのです。

下田海上保安部によりますと密漁で検挙した人は、2020年度は8人。昨年度は29人。2022年度は8月までの5カ月間で28人に上ります。
そんな密漁を取り締まる機関のひとつが下田海上保安部です。密漁が特に横行する暑いシーズンに監視を強化していました。

密漁の抜け道とは…

下田海上保安部 警備救難課
高橋司 警備係長:「おれも漁師だとなんとなく思う。こっちのほうが怪しい。海にさえ入れば。こっちは漁師でしょほぼほぼ」

貝をとる地元の漁師は主に素潜り。一般人と漁師の見分けがつかないことが密漁の抜け道となっています。

下田海上保安部 警備救難課
高橋司 警備係長:「私の経験だと午前中に潮が引いてる時にやって、午後に都会から来るので帰る方が多い。潮が低い方が見つけやすい貝も。結局潜らなくてもとれたりもするので。あんまり上手くない人であれば浅いほうがいいのであれば干潮時間。今みたいに引いている時がいいと思う」

密漁者を発見

この日1時間ほど監視を続けていると、別の捜査員から電話が入りました。

下田海上保安部 警備救難課
高橋司 警備係長:「(電話の音)はいはい、なんの人なの。一般人だったの。やるしかないね。向こうに白い人が一般人でサザエ20個くらいとアワビとトコブシとっていたので、さっきの保安官が今声かけて行きましょう。向こうは向こうでかもう。はかりとあれもってきて」

近くで密漁者を見つけたという報告です。

すぐに現場へ向かうと、一人の年配男性が。

下田海上保安部 警備救難課
高橋司 警備係長:「海上保安部です。すみませんね。これをとっちゃった。しょうがないね、とったものは。いつもとってるの?」

密漁者:「毎年来ている。魚介類をとるなっていうのはどこの磯場も分かってるんだけど、こことか(看板)ないから」

高橋係長:「無いわけ無いんだけど、無いからいいと思ったの?」

男性が持っていた袋から出てきたのは。。。

アワビやバテイラ。サザエに関しては30個以上。合わせて3キロ近くありました。この重さは地元の漁師が1日でとる量に匹敵するほどです。卸売り価格に換算するとおよそ3500円。

三島市から来たというこの男性に話を聞いてみると。

Q:とってはいけないことは知っていたか?

密漁者(69):「どこもアワビ、サザエ、イセエビ、禁止だってことは聞いている。釣りの延長戦なんだよ、俺らからすれば。少しくらいイセエビ獲るとか、高級なアワビ専門にとるというのはさらさらないけど、夕飯のちょっとおかずになるくらいの感じで」

下田海上保安部によりますと男性の捜査は継続中です。一般的にこの規模の密漁は罰金の略式命令を受けることが多いといいます。

資源保護の観点からも…

今回押収された貝の中には、小さな貝も。資源保護の観点から漁師でもとることを禁止されています。

地元の漁師:「一般の方は時たま来ては見つけるとみんなとってしまう。一番悪いのは規格外の小さいものまでとってしまうことで影響がでる」

この男性のように多くが軽い気持ちで、密漁を行っているのが現状です。海上保安部は地道な捜査を続けています。