食材のおいしさがギュッと詰め込まれている缶詰。定番のツナ缶から焼き鳥、果てはおでん缶まで、そのバリエーションは無数に存在します。製造元を見てみると、その多くが静岡県内のメーカー。実は日本の缶詰生産量の3分の1は静岡が占めていて、まぐろの缶詰に至っては全国生産量の98%が静岡産。

新東名の新静岡SAには缶詰専門の土産店も

新東名の新静岡SAには缶詰専門の土産店もあるほど、静岡は「缶詰王国」でもあるんです。

Q.缶詰は好き?
40代男性:好きですね。パカンと開けて、すぐ食べれるところが魅力。

50代男性:毎週1個は必ず食べてる。小腹を埋めるちょっとした量が良いと思う。酒のつまみに最高です。

そんななか8月、県内の老舗缶詰メーカーで、日本初かもしれないという、缶詰が誕生しました。

日本初「富士宮焼きそばの缶詰」

西尾梓アナウンサー:「静岡市清水区蒲原に来ています。こちらで日本初かもしれないある商品が開発されたそうなんです。どんな商品なんでしょうか、行ってみましょう」

訪れたのは静岡市清水区の「ホテイフーズコーポレーション」。昭和8年創業の老舗缶詰メーカーです。看板商品は焼き鳥の缶詰。最近は宇宙食としても登録されるなど、日本の缶詰業界をけん引している会社の一つです。

小麦粉の麺を使用

西尾アナ:こちらが日本初という商品ですか?

ホテイフーズコーポレーション商品企画課 物江祐太朗課長:「そうです。こちらが日本初となる富士宮焼きそばの缶詰です」

こちらの会社が新たに開発したのは、静岡が誇るB級グルメの代表、富士宮焼きそばの缶詰です。一体、どんなところが日本初なのかというと…。

ホテイフーズコーポレーション商品企画課 物江祐太朗課長:「小麦粉の麺を使った本格的な焼きそばの缶詰というのは日本で初めて。海外の商品だとパスタの缶詰とかあるが、日本では焼きそばの缶詰は弊社が初めてになる」

これまで麺類の缶詰と言えば、保存期間中に伸びてしまうことなどを防ぐため、こんにゃくなど小麦粉に替わる食材で代用したものがほとんどでした。ところが、今回作られたこの缶詰は、通常の富士宮焼きそばと同様に小麦粉麺で製造。食感や味など、よりそのままの形で再現することに成功した商品なんです。

西尾アナ:缶詰を手掛けるホテイフーズの富士宮焼きそばの缶詰ということで、自信作ということでいい?

物江さん:もちろんです。富士宮焼きそばが再現された日本初の缶詰なので、是非皆さんに食べていただきたい。

お味は…

ということで…。

西尾アナの食リポ
「缶詰の富士宮焼きそばをいただきます。これ香りがすごくてマスク越しでも焼きそばのいい香りが漂ってきます。早速いただきます。んー! 麺がモッチモチです。富士宮焼きそばならではのだし粉の風味と肉カスのうまみがあって、結構味付けも濃いめなんですね。おいしいです」

誕生のきっかけは…無茶ぶり

約1年半の開発期間をかけ、満を持して完成した新商品。そもそも誕生したきっかけは…。

ホテイフーズコーポレーション商品企画課 物江祐太朗課長:「開発会議で、新商品とかを色々考えるが、その中で偉い人が『富士宮焼きそばが缶詰にできたら面白いよね、お土産で売れるよね』というところから、無茶ぶりが始まって、その無茶ぶりに 開発担当者が頭を悩ませて…」

商品開発のきっかけは、なんと会社上層部から無茶ぶりだという誕生秘話が。

西尾アナ:その時、焼きそばの知識やノウハウはあった?

物江さん:全くありませんでした。ですので、解決策は丸投げです。昭和ミートという富士宮焼きそばを作っているメーカーがあって、そこに「こんなん作りたいんだけど何とかならない」みたいな感じで丸投げしたところ、協力できますよ、というお話を頂いて開発がスタートした、そんな形になっている。

協力した食品メーカー社長「ノリで受けた」

あまりの無茶ぶりに右から左へと流された、富士宮焼きそばの缶詰プロジェクト。丸投げされたという焼津の食品メーカーでも話を聞いてみました。

昭和ミート 水谷賢司社長:「いや、でも無理でしょうということを話していたが、面白そうだからやってみようかというノリで受けたこの仕事は。半年でできるでしょうと思っていたら1年半。まさかこんなに時間がかかるとは思っていなかった」

こちらはこちらで「ノリで受けた」と話す、昭和ミートの水谷社長。

一体、どんなふうに焼きそばを作るのでしょうか。特別に、工場内を取材させてもらうと…。

「何回も試作して缶詰に合う硬さにした」

昭和ミート 水谷賢司社長:「こちらは冷凍焼きそばの工場で、ここでキャベツや麺を炒めてソースで味付けをしている。まさにここでやっている」

こちらは冷凍の富士宮やきそばを自社開発し、1日およそ5トンもの量を生産・通信販売している富士宮やきそばのプロフェッショナル会社。完成品を見せてもらうと…。

昭和ミート 水谷賢司社長:「完成品です。缶詰は水分を少なくした麺で作っている。もう何回も試作をして缶詰に合うような硬さに変えた」

缶詰は製造工程の中で長期保存を可能にするため、圧力をかけながら120度を超える温度で中身を殺菌します。その際、麺の水分量が多いと仕上がりがベチョっとしてしまい、逆に少ないとパサパサになってしまいます。そのため、殺菌後、麺のコシをどう残すかということが、商品化のための最大のポイント。

この富士宮やきそばの缶詰は、数えきれないほど試作を重ね、ようやく完成にたどり着いた努力の結晶だったのです。

昭和ミート 水谷賢司社長:「富士宮やきそばというブランドを汚してはいけないという思いでやっているので、いかに現地のものに近づけるかということでやってきた。何回も、もちろん富士宮には通って、味の承諾ももらって完成にこぎつけている」

もちろん、ホテイフーズ側も一方的に丸投げしていたわけではありません。

ホテイフーズコーポレーション商品企画課 物江祐太朗課長:「昭和ミートで作ってもらった焼きそばを一回冷凍して、それを解凍した後に缶詰に入れ詰めるとどうも食感が持ちそうで、これはいけるんじゃないかというところから開発が進んでいった。やはり私たちも作るからには、おいしいものを作りたいということで、アンテナショップの監修を受けて富士宮焼きそばを再現している」

こだわり抜いた焼きそばは、宮城県にある工場で、一つ一つ手で詰めて完成。

静岡の新たなお土産として、名乗りをあげた「富士宮やきそば」の缶詰。お盆の時期も迎え、観光客など、より多くの人に広がっていくことが期待されています。

静岡市に「缶詰の自動販売機」

そしてこの日、静岡の缶詰を盛り上げようと新たな動きが。

西尾梓アナウンサー:「県内の有名缶詰ブランドが一丸となって出来た画期的な試みが、きょうから静岡市清水区の河岸の市で始まりました」

お披露目されたのは、県内の缶詰メーカー11社の商品を集めた「缶詰の自動販売機」。王道のツナ缶をはじめ、ご当地グルメの「もつカレー」や本格的な「ガパオライス」など20種類を販売する予定です。その中には、あの「富士宮焼きそば」の缶詰も。

ホテイフーズコーポレーション 山本達也社長:「缶詰だけの自動販売機は日本初だと思う。withコロナで世の中に自動販売機や無人の販売店がどんどん増えている。缶詰の販売にも可能性があるか検証したい」

県内外から年間100万人の観光客が訪れる「河岸の市」。ここを「第一の実験地」とし、自動販売機を2台設置して、購入者層や人気の価格など販売動向をチェックします。

その結果を踏まえ、今後、静岡市内の人気観光地に缶詰の自販機を広げていく狙いがあります。

ホテイフーズコーポレーション 山本達也社長:「キーワードで『ワクワク感を共有しよう』とやっているので、これから販売促進や情報伝達方法をブラッシュアップしながら缶詰をもっと普及させていきたい」