静岡県の川勝平太知事と自民党の対立が激化した2021年。第1ラウンドは、6月に行われた知事選でした。

自民が擁立目指した浜松市の鈴木康友市長

リポート
「自民党県連の中沢公彦幹事長が店の中に入っていきました」
「今、浜松市長の鈴木康友市長が車から降りてきました。中沢幹事長に続いて店に中に入っていきました」

自民党県連の当時の幹事長、中沢公彦県議と浜松市の鈴木康友市長。去年7月、1年後の知事選に向けた極秘会談をカメラが捉えていました。ただ、鈴木市長の擁立には、行政区再編問題という大きなハードルがありました。これがクリアされないと、鈴木市長は知事選に出馬できなかったのです。

しかし調整は難航、中沢幹事長は知事選までに条件をクリアするのは困難と判断します。

浜松市出身の北海道副知事・中野祐介氏(当時)擁立目指すも

北海道札幌市

リポート
「自民党県連の中沢幹事長が今札幌市内のホテルに入っていきます」
「北海道の中野副知事です。中野副知事が中沢幹事長に続き札幌市内のホテルに入っていきました」

自民党県連が次に擁立を目指したのが、浜松市出身の北海道副知事・中野祐介氏(当時)でしたが…。これも「勝てる候補」を強く求める官邸や党本部の理解が得られず、とん挫します。今年2月のことでした。

告示まで2ヵ月 「本命」の鈴木市長が再浮上も… 大物財界人がストップ

追い込まれた自民党県連内では、再び、「本命」の鈴木市長が浮上。

浜松市 鈴木康友市長(4月8日 浜松市中区)
Q.知事選で康友さんを推す声が上がっているが?

鈴木市長「すみません仮定の話に回答できませんので」

もともと知事職に意欲を示していた鈴木市長は、ついに出馬を決断。4月12日に市役所での出馬会見を設定します。

ところが、その直後、関係者によると、市長の後ろ盾・スズキの鈴木修会長が、行政区再編をやり遂げるべきだと、ストップを働きかけたといいます。

鈴木市長会見(4月12日)
「それを放り出して、別のステージに行くのは考えられない」

出馬会見の場は、不出馬会見に変わりました。

そして岩井参院議員が出馬

知事選まで1カ月、最後に白羽の矢が立ったのが、参議院議員の岩井茂樹氏でした。

そして…。

静岡県 川勝平太知事(静岡・葵区)
「命の水を守るために、私たちは立ち上がっている」

川勝県政打倒を目指す自民党は、知事を激しく攻撃。

上川法務大臣(静岡・葵区)
「いまの知事は12年終われば、もし仮に負ければ、こういう場合にはバイバイ、軽井沢に帰ってしまう人です。そうでしょ?」

これに対し、川勝知事はあくまで「大井川」にこだわり続けます。

川勝氏 島田市蓬莱橋
「大井川…見えましたね」

大井川の水問題のみを争点化するような「劇場型選挙」を展開。

川勝氏(静岡・葵区)
「ましてや、ここ(静岡市)とは直接関係ないからといって、62万人の人の命の水がかかっているのを、黙って静岡県民は放っておけますか?」

「そうだー!」

川勝氏「絶対にできない。ひとさまのことをそんなことしてはなりません!」

「大井川の自然を守る者は誰だー?」「平太―!」
「静岡県を誰よりもよくしようとしているのは誰だー?」「平太―!」
「ありがとうざいました!」

大勝の川勝知事「ノーサイドにあらず」

95万票あまりを獲得し、岩井氏に30万票以上の大差をつけて勝利すると、「ノーサイドにあらず」と、自民党との戦いの続行を宣言。その後に行われた参院補選と衆院選で、これまで控えていた選挙応援を解禁。静岡入りした岸田総理を向こうに回し、反自民候補の支援に乗り出したのです。

川勝知事(17日)
Q.静岡県には自民党の国会議員がいなくてもいい?
A.「大丈夫じゃないですか」

そこで訴えたのも、知事選で県民の信任を得たとする「リニア問題」でした。

川勝知事
「それ(リニア)を堂々と通そうと、大きな大都市を作って日本の効率を上げると言っているのが、この「県民党」に対立している自民党であります」

川勝知事(焼津市)
「地元の人が受け入れていない以上、(リニア)工事をやめるべきだと思いますが、いかがですか?」

聴衆「そうだ!」

川勝知事(掛川市)
「ルートを変更賛成ですか。リニアトンネル工事に賛成ですか反対ですか。反対。そうです」

川勝知事が直接応援に入った4人の候補のうち、参院補選の山崎氏、衆院静岡3区の小山氏、8区の源馬氏は勝利しましたが、大井川流域の2区では立憲民主党の福村氏が、自民党の井林氏に大敗を喫しました。

井林辰憲氏(当選の弁)
「私としてはこれ(リニア問題)は争点ではないはずだ、と。大井川を守るのは当たり前のことであって、それをなぜわざわざ争点にするのか。これは悪意のある、政治的に言うと」

ヒートアップしていった争いの中で飛び出したのが、あの発言です。

川勝知事(浜松・中区)
「あちらはコシヒカリしかない。だから飯だけ食って、それで農業だと思っている。あちらは観光しかありません」

川勝知事VS自民党 第2ラウンド「コシヒカリ政局」

「コシヒカリ発言」は、地域差別だという世論の強い批判を浴びました。

川勝知事会見「誠に申し訳ありませんでした。(深いお辞儀)」

知事選以来、劣勢に立たされていた自民党は、ここで一気に攻勢に出ます。

自民党静岡県連 野崎正蔵幹事長(11月23日)
「今、この神聖な静岡県議会の議場において、静岡県知事、川勝平太君に辞職を勧告いたします」(拍手)

県政史上初となる、辞職勧告決議が可決されました。

川勝知事
「来年は生まれ変わったような人間になってみよう。富士山に誓いました」

しかし、自民党は、知事の政治姿勢や別の失言問題の追及を続けていて、対立は先鋭化したまま、年を越そうとしています。

22日、今年最後の会見を開いた川勝知事は…。

川勝知事(12月22日 定例会見)
Q.この対立の本質はなんだったのか?

A.「本来12年間、ノーサイドだった。参院補選と衆院選で、その原則にもとることをした。本当に失敗したと思っていて、(自民党と)一緒に仕事をすることは県民のためにもなる。これから敵対関係は一切私自身からはとらない、そういうふうにしたい」