静岡県 川勝平太知事(8日):「これは驚くべき事実でございました。現在の神奈川県の状況は危機的であると、全体のスケジュールに大きな影響を及ぼしていると思い、危機的であると思います」

川勝知事が8日の会見でこう話したのは、リニア中央新幹線についてです。

川勝知事がリニア新駅の建設現場を視察

7日、知事の姿は、神奈川県相模原市にありました。目的はリニア中央新幹線の新駅として建設が進められている神奈川県駅の視察です。

根方ゆき乃記者(7日):「JR橋本駅から南側に位置するこちらが神奈川県駅となる場所です。地下30mにホームをつくる予定で、現在急ピッチで建設作業が進んでいます」

神奈川県駅はJR橋本駅の南側に建設が進められていて、リニアが品川駅を出発してから最初に到着する駅です。視察ではまず、神奈川県駅の概要についてJR東海の担当者から説明を受けました。

JR東海の説明(7日):「星印を付けている所が説明をさせていただいているところ。こちらはもともと神奈川県の神奈川県立相原高校があった」

続いて向かったのは、土地を掘削している工事現場です。工事の進捗状況や工法について説明を受けました。

●川勝知事とJR東海の担当者のやりとり(8日)
JR東海「相模原市も協力していただいて順調に」
川勝知事「順調に?」
JR東海「はい」
川勝知事「とりあえず駅は…」
JR東海「そうですね」

部分開業の可能性を探る狙いか…JR社長、愛知・神奈川県知事は「否定的」

今回、川勝知事はなぜ視察したのでしょうか、そのきっかけとなったのが、8月のこの発言です。

川勝知事(8月23日):「まずは2つの駅が結ばれれば、暫定開業も可能であると考える。そういう意味で、(相模原市の)橋本あたりから甲府に行き交うことが
一種の暫定開業として唯一可能な場所であると、私は今のところ思っている」

今回の視察はその可能性を探る狙いがあったとみられます。こうした主張にJR東海の金子社長は…。

JR東海 金子慎社長(8日):「部分開業する意義はない。東京から名古屋まで、あるいは大阪まで開業しないと建設の意義が果たされないということ。そういう中で、きっとごく一部を仮に営業しても、お客様は非常に少ないと思う。私たちはこういう形態として事業をやっていくので、そういう選択肢は全くない」

さらに…。

愛知県 大村秀章知事(8月25日):「部分開業というのはあり得ない。どういう発言されるのか、それは日本という国は自由でありますので、発言はあれですが、部分開業で事業として成り立つかというと、それは成り立たない」

神奈川県 黒岩祐治知事(5日):「日本列島を大きくつなぐ大動脈として造ろうといった国家的プロジェクトだから、部分開業というのはあり得ない。リニアといったものに乗ってみたいと思う方は乗られるかもしれないが、別にそういう遊園地の電車ではないから、予定通り全線開通を目指していくといったこと、これが何よりも大事なこと」

沿線地域からも厳しい意見が相次いでいます。

川勝知事 部分開業の可能性に自信

川勝知事は、予定した視察を終えた後、相模原市の本村賢太郎市長と非公開で会談。部分開業などについて意見を交わしたということです。

静岡県 川勝平太知事(7日):「その可能性を探りに来たわけだが、その可能性は8割方あると思った」

山梨―神奈川間の部分開業の可能性に自信を見せました。

ところが…

しかし今回、予定にはなかったリニアを運行するために必要な車両基地の建設予定地も訪問していた川勝知事。その現状から、部分開業すら難しいとの認識を示しました。

静岡県 川勝平太知事(7日):「車両基地の問題は、これ私どもきょう発見したのでショックでしたね、ショックでした。車両基地がなければ、これはサービスができないということで。仮に来年2023年に造成に入ったとするでしょう。それから路盤の整備をする、ガイド用の整備をする、建屋を作る、そして機械整備をすると、丸11年かかるから2023年足す11は2034年になる。2034年にならないと、山梨と神奈川ですらできない。部分的な開業もそもそも、そこができない限り、絵に描いた餅になるということを残念に思っている」

こうした発言に、知事と会談した相模原市の本村市長は…。

相模原市 本村賢太郎市長(7日):「私どもは当初から、品川-名古屋間2027年開業、そして品川-大阪間の2045年開業を目途に進めてまいりましたので、その考えは変わりありません。部分開業は私自身考えていませんが、川勝知事からの思いというもの、そして理論的なご説明もいただいたので、やはり研究等々が必要だと思っている」

川勝知事「現場を見れば2027年開業は無理」

また知事は、静岡県が7月に加盟した、リニア新幹線の建設を促進する期成同盟会について、現状を見ていないと批判。

静岡県 川勝平太知事(7日):「2027年に努力すれば(品川・名古屋間の開業は)できると、全ての知事さんが思っていらっしゃるんですね。だけど、きょうこの現場を見れば、できないじゃないですか、2027年というのが、本当に出来るかどうか、それぞれ知事さんは知っていらっしゃるはずです」

川勝知事の怒りはこれだけでは収まりません。

静岡県 川勝平太知事(7日):「この間の期成同盟会の臨時総会もそうでしたけど、やってる、やってる、やってる、やってると言う。全て順調にいっているという話でした、神奈川県知事さんも。だから案外ですね、現場の状況をご存じないままに、そういう話だけ進んでいて、なんか2027年がお題目のようになってですね、できるものだというふうな。そういう幻想を持っていらっしゃると。だから、もう2027年どころじゃありませんね。それを知らないってことであれば、これは大問題。知らせなかったというのは、さらに大きな…情報の秘匿ですね。不都合な真実は言わないとうことがあってはならない」

8日の定例会見でも、川勝知事は…。

静岡県 川勝平太知事(8日):「遅れている事情は静岡県だけにきせてきたところの一因はJR東海社長以下のキャンペーンにあったと同時に、そのままうのみにして2027年にできるんだということで、実態について十分に把握しているかどうか不明なまま、こちらからみると2027年に開業できるということで、その数字が踊って」

Q.期成同盟会に入るときに2027年開業を目指すということを確認をとられたということだが、その時点では2027年開業はできると思っていた?

A.「あと5年ありますからね」

Q.きのう視察をしたら全然工事が進んでいないと思ったので、今の同盟会のスタンスはおかしいと?

A.「これはみんなで事実は事実として語らしめるというところはあるが、どういうとられるかは、それぞれ見に行けば分かるから。そういう段取りにこれから入る。靴に足を合わせるのではなくて、足に靴を合わせるわけでしょ、ですから現実に合わせないと靴は履けません。そういうのと同じで、今現実がどうなっているか分からない限り、2027年の開業、これを題目のように唱えても題目は実現しません。題目は題目でしかない」

川勝知事の指摘にJR社長は…

知事が訴える「車両基地問題」について、JR東海の金子社長は…。

JR東海 金子慎社長(8日):「知事が他県の工事状況について何か特別な情報を持っているのか分からないが、私たちは土地の大体半分くらい取得している。用地を取得したところから工事を進めていくと。実際の工事を組み立てる中で、いろんな工程をパラレルに行うとか、工程の短縮がきくから、短縮をして仕上げるつもり」

Q.2027年までに間に合う可能性もある?

A.「そうです。そのつもりで進めていこうと思うが、土地の取得など難しい問題もあるので、情勢もあるがそういうつもりで進めている。2027年の開業は残念ながら静岡県の工事がまだ着手できていないので難しい状況だが、他の工事の工程は緩めずに、関東車両基地も含めてしっかり進めていきたい」