静岡市清水区の中心市街地から、車で北におよそ30分の場所にある両河内地区。床上浸水や土砂災害など深刻な被害を受けました。

林輝彦アナウンサー:「川の氾濫によって大きな浸水被害を受けた両河内地区。きょうも住民やボランティアが家財道具を運んだり、泥のかき出し作業に追われている」

両河内地区でお茶とワサビを育て販売している「やまよ」。茶畑は難を逃れましたが、ワサビ田は大きな被害を受けてしまいました。

林アナ:「かなり山の奥の方まで進んできた。これから台風15号の被害を受けたワサビ田を取材する。どんな状況になっているのか」

険しい山道を進むことおよそ30分。

林アナ:「静岡市清水区河内地区。わたしが今立っているのはワサビ田。あと少しで出荷できる状態まで育っていたが、台風15号の甚大な被害を受けた。被害を受けたワサビ田は上から下まで数百メートルにわたっている」

やまよ ワサビ農家 山崎貴正代表:「もう収穫はできないですよね。見ての通り茎も枯れて萎れてきているので。(元々は)全部平らになっていて植える前に均等に水が流れるような感じ。今回は崩れて水がまとまっちゃってる」

美しい階段状の沢が土砂に埋まり

ワサビの栽培は、棚田のように沢が階段状になっているのが特徴で、綺麗な湧水を利用してワサビを育てています。

この場所も台風が来る前までは、このように美しいワサビ田が広がっていました。ところが現在は、元の状態がわからないほど、土砂に埋もれてしまっています。

やまよ ワサビ農家 山崎貴正代表:「(ワサビを持って)もうこんなのダメだよね、フニャフニャになっちゃってさびしい限り」

Q.最初見たときどう感じた?

A.「(しばらく沈黙が続き)悲しいとか切ないとか。あれくらいの雨だったので、ここに来る前から覚悟はしていたんですけど。でも実際見ると…(再び沈黙) 切ないというかね」

古くは江戸時代から受け継がれてきたというワサビ田も、一晩でこの姿に。取水していた近くの小川にも土砂が堆積していたといいます。

やまよ ワサビ農家 山崎貴正代表:「石は全部ここにたまっていて、全部みんなで動かして、とりあえず応急処置でここに水が入るようにしてある。この辺は全部土砂で埋まって、土のうはこの3倍か4倍入っていたが、みんなでスコップとか使いながら片づけて、何とかこの状態」

やまよ ワサビ農家 山崎貴正代表:「ありがたいことにお客さんからけっこう励ましの言葉をいただいて、『ワサビがないのはしょうがない、がんばれよ』というメッセージをくれる。今まで(の台風被害)は時間がかかるけど直そうかというレベルだったし、今回はちょっと厳しいね。直してもこれじゃ3年〜5年くらいのスパンで見ていかないと。あとは人手とお金も必要ですからね。僕もずっとワサビに携わってるわけにもいかないので。そう思うとやっぱり修復は不可能かな」

かすかな希望は

全長およそ400メートルにわたるワサビ田の、9割ほどが壊滅的な被害を受け、すべてを元に戻すのは絶望的な状況です。そうしたなかでも、かすかな希望が残っていました。

やまよ ワサビ農家 山崎貴正代表:「ここは奇跡的に助かったところ」

Q.被害は受けていない?

A.「ゼロに近いですねここは、本当に奇跡だと思う」

Q.どうしてここだけ助かった?

A.「水が集まる前の始まりの畑なので、水が集まる前だったからじゃないか。古いワサビ田なのでここもないものと思っていたんですけど」

残ったのはわさび田の起点となる場所で、一番古いもの。ただ、全体で見れば1割にも満たないといいます。

やまよ ワサビ農家 山崎貴正代表:「1割どころじゃない、2〜3%くらい。だけど、あるだけ良かった。(ワサビの)量が少なくなったので、いつも以上に手間暇かけるといっても見回り来たり、シカの対策したりその程度。これから先も大きい雨が降らないとは限らないので、対策だけはしっかりしておきたい。本当にありがたい」

(9月30日放送)