蓄積された記憶や情報がアトランダムに出てくるため

睡眠には、体は眠っていても脳は起きている「レム睡眠」と、脳は寝ているものの、感覚器や筋肉とはつながっている「ノンレム睡眠」があり、睡眠中はこの2つを1セット約90分程度の周期で繰り返しています。レム睡眠とは、眠っているヒトのまぶたの内側で眼球がキョロキョロ動く、急速眼球運動(rapid eyemovement:REM)を生じる浅い眠りです。

このとき、脳内では大脳辺縁系の海馬や扁桃体などの記憶にかかわる部位が活動し、情報の整理や統合、記憶の定着といった、いわゆる脳のメンテナンス作業がおこなわれています。

記憶を整理して神経細胞のネットワークを修正するのは脳にとって非常に大事な作業ですが、昼間おこなおうとすると大変な脳の容量が必要になります。そこで、進化の過程で獲得したのが睡眠中にメンテナンスをおこなうレム睡眠です。

一方のノンレム睡眠は、大脳皮質の神経細胞の活動が低下し、脳全体の血流も低下する深い眠りです。脳は休息状態ですが、成長ホルモンの分泌などはこのときにおこなわれます。

夢は、情報の整理や記憶の定着などの情報処理に伴うこれまでの経験や、蓄積してきた記憶・情報を整理する際に、その過程を脳で再現している知覚現象と思われています。

しかし、海馬などの記憶に関する部分が覚醒しているものの、思考や判断を担う前頭前野は眠っているので、つじつまの合わないランダムで荒唐無稽な夢だったりするのです。

一般的に夢はレム睡眠時に見るとされていますが、ノンレム睡眠時も見ています。レム睡眠は眠りが浅いために起床後よく思い出されますが、ノンレム睡眠時の夢は記憶に残らないのです。一見つじつまの合わない夢ですが、夢を見るからこそ日中に正常な意識で動けるのかもしれません。

出典:『図解 人体の不思議』監修/荻野剛志