2021年シーズン。日本一へ向け死闘を繰り広げる千葉ロッテマリーンズ。その指揮官・井口資仁は、これまで監督としてチームを率いる上で、どんな思いを抱いていたのか。
開幕前、3月に上梓された書籍『もう下克上とは言わせない〜勝利へ導くチーム改革〜』からその一部を抜粋してお届けする。今回は「現役引退直後に一軍監督就任することの有利な点」に関して。

チーム改革への利点

 (現役引退直後の監督就任のため)自分が直前まで在籍していたチームの現場のことは、誰よりも知っている立場にある。当時の僕には実際に、どんな指導者や評論家よりも、マリーンズの選手たちの気持ちを理解している自負があった。

 2017年、マリーンズは球団史上ワーストのシーズン87敗を記録。そんな大惨敗を喫した状況で、レギュラー選手たちはどうやって試合に向き合っていたのか。

 勝てない状況が続く中、どんな疑問を抱きながらプレーしていたのか。

 その中で本当に真剣にチームの立て直しに取り組もうと努力していたのは誰か。

 ベンチにいる選手たちは、どんな起用法に不満を持っていたのか。

 なぜ実力を発揮することができなかったのか。

 二軍にいる選手たちがどんな技術的な壁にぶつかって伸び悩んでいたのか。

 もちろん、すべての点に関して完璧に把握できていたわけではないだろうが、僕はチームメートであった彼らが考えたり感じたりしていることを自分なりにある程度は理解している自信があった。

だから就任への不安はなかった

 監督としてチームを改革していく上で、実際に試合で戦う選手たちの考えを理解しておくことは最も大切なことの一つだろう。これが「引退直後に就任した監督」ならではの長所だ。

 だから、僕にはコーチや評論家の経験がないまま一軍監督に就任することへの不安はなかったのである。

ーー次回、また別視点から「ブランクを空けずに現場に居続ける利点」を語る。「監督の条件.3」へ続く

出典『もう下克上とは言わせない〜勝利へ導くチーム改革〜』著/井口資仁 日本文芸社刊
記事内容は21年3月の書籍出版時点のもの。