関節は1日に約10万回も動いている

骨と骨のつなぎ目には関節があり、肩や肘(ひじ)、股や膝、足首、指など、ヒトの体には全部で約260個の関節があります。

関節の役割は、体が滑(なめ)らかに動くようにすることです。歩いたり、しゃがんだり、物をつかむなどの日常の動作は、これらの関節を動かすことで可能になります。どんなに丈夫な骨や強い筋肉があっても、関節がなければ体を思いどおりに動かすことはできないというわけです。

ヒトは1日に約 10 万回も関節を動かしており、このように酷使しても耐えられる丈夫な構造をしています。関節は靱帯(じんたい)や膜で覆われ、膜の内側には関節を滑らかにするはたらきがある滑液(かつえき)で満たされています。関節に向かう骨の表面には、弾力性のある軟骨(なんこつ)があり、滑液や軟骨は骨同士がこすれ合わないよう、関節を守っています。

種類も、形も、動きかたもいろいろ

ヒトの関節には、肩や股関節のように前後、左右、上下の方向に動かすことができる「球(きゅう)関節」と、肘や膝など骨が蝶番(ちょうつがい)のような形をして、曲げたり伸ばしたりすることができる「蝶番関節」など、さまざまな形状のものがあります。

親指のつけ根などにある「鞍(あん)関節」は、「球関節」ほどではないものの、広く自由に動かせる関節です。首の部分などにある「車軸(しゃじく)関節」は、首の場合、左右を見回すのに便利なつくりになっています。横や前後の細かい動きに向いた「楕円(だえん)関節」は手首などにある関節です。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 解剖学の話』
著:坂井建雄 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
順天堂大学保健医療学部特任教授、日本医史学会理事長。1953 年、大阪府生まれ。1978 年、東京大学医学部卒業後、ドイツのハイデルベルグ大学に留学。帰国後、東京大学医学部助教授、順天堂大学医学部教授を歴任。医学博士。専門は解剖学、細胞生物学、医学史。専門書だけでなく一般向け書籍まで、著書、監修書を多数刊行。近著書は、『医学全史』(ちくま新書)、『図説医学の歴史』(医学書院)など。