知っておくと面白いそれぞれの違い

擬洋風建築は、明治時代の急速な西洋化のなかでうまれた独特の建築様式です。明治に入り、日本でも外国人居留地などで洋風住宅が建つようになりましたが、それを建設する外国人の職人はほとんどいませんでした。

そこで、日本の大工や左官職人、木彫刻師たちが見よう見まねで西洋風の外観を和の技術を用いてつくったのが、擬洋風建築の始まりです。

文明開化の素晴らしさを全国各地に広めたいという明治政府の方針もあり、地方都市の銀行、病院、各種公共施設の多くがこの様式でつくられました。一見すると石造のようですが、そのほとんどが木造です。また、細部には和の技術がつかわれています。

見どころの一つは、石の表現です。石造建築では力学的に重要な壁の隅だけ特別な石の積み方をし、コーナーストーンと呼んでいます。擬洋風建築では、この特徴を和の技術である漆喰などで表現しているのです。またギリシャ・ローマ様式の石造柱頭も、装飾によって見事に模しています。

もう一つの見どころは、独自性です。たとえば、玄関に唐破風屋根を設けた和・洋・漢折衷の建築や、16角形でドームを表現したものなど、洋風のコピーが少ないのに洋風に見えるのが擬洋風建築の特徴なのです。こうした独自の創意工夫や大工の遊び心が盛り込まれているのも魅力の一つです。

日本には、中国文化の影響を強く受けながら、独自の文化を育んできた長い歴史があります。西洋からきたスタイルをただ受け入れるだけでなく、自国の技術や文化を混ぜ合わせ、こうした新しい様式を誕生させるのは、日本の得意とするところだったといえるでしょう。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 建築の話』著/スタジオワーク