お腹でからまらないのは腸間膜のおかげ

小腸(しょうちょう)は「十二指腸(じゅうにしちょう)」「空腸(くうちょう)」「回腸(かいちょう)」からなる消化器官です。十二指腸を除く小腸のうち、前半の4割が空腸、後半の6割が回腸で、回腸のほうがやや長くなっています。小腸は、体内では縮んでいるので3メートルほどですが、縮みを伸ばせば長さは6〜7メートルになります。

これほどの長さがあっても、小腸がからまることなくお腹に収まって活動できるのは「腸間膜(ちょうかんまく)」のおかげです。腸間膜は小腸を包み、支えている薄い膜で、腹部の後壁からカーテンのようにぶら下がっています。腸間膜の裾(すそ)にはひだがたっぷりあり、そこに包まれている小腸は6〜7メートルもの長さがあっても十分に収まります。また、小腸がダラリとたれ下がることがないのも、腸間膜によって吊り上げられているからなのです。

小腸の主な役割は栄養素の消化吸収

小腸の役割は主に2つで、1つめは胃から送られてきた粥(かゆ)状の消化物をより細かく分解し、最終的な消化を行なうことです。小腸に届いた粥状の食べ物は、数時間かけて十二指腸から回腸の出口まで通過します。この間に栄養素や水分の吸収が行なわれます。栄養素の吸収は、主に空腸で行なわれます。

もう1つの小腸の役割は、水分を吸収してから、大腸に送ることです。水分は飲食物から摂ったものはもちろん、体内で分泌された唾液(だえき)や胃液、胆汁(たんじゅう)なども吸収されます。こうして腸に入った水分の約8割は小腸で吸収され、残りは大腸(だいちょう)で吸収されます。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 解剖学の話』
著:坂井建雄 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
順天堂大学保健医療学部特任教授、日本医史学会理事長。1953年、大阪府生まれ。1978 年、東京大学医学部卒業後、ドイツのハイデルベルグ大学に留学。帰国後、東京大学医学部助教授、順天堂大学医学部教授を歴任。医学博士。専門は解剖学、細胞生物学、医学史。専門書だけでなく一般向け書籍まで、著書、監修書を多数刊行。近著書は、『医学全史』(ちくま新書)、『図説医学の歴史』(医学書院)など。