大本の存在や時代背景もヒントに

般若心経は、その全体が祈りの言葉ともいえ、音とリズムに身を委(ゆだ)ねることも重要です。しかし、意味をより正確に知っておけば、さらにその味わいも深まり、自分自身の般若心経を体験できるでしょう。

そのために本書では、サンスクリット語(一部パーリ語)の原典と対応させながら意味を解説しました。

また、般若心経には、世に広まっていませんが「大本(だいほん)」というものが存在します。通常の般若心経を小本(こぼん)というのに対し、それより字数が多く、前置きとなる状況説明や事後の様子などが記されたものが大本です。大本も参考にすることで、いっそう理解が深まるので、その内容にも触れてあります。

般若心経は、仏教史のなかでも重要な位置にあるお経です。詳しくは第2章で述べていきますが、お釈迦様が語られた言葉からできている仏典に対し、詳細な研究に没頭し、それを出家者の修行のためだけに用いる態勢となってしまったのが小乗仏教(部派仏教、上座部仏教など)でした。

それに対し、「すべての人は救われて仏になれる」としたのが大乗仏教です。般若心経は、その大乗仏教のありかたを高らかにうたい上げたお経でもあるのです。こうした予備知識を持っておくと、般若心経の理解はさらに深まるでしょう。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 般若心経』
著:宮坂宥洪 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
真言宗の僧、仏教学者。1950年、長野県岡谷市生まれ。高野山大学仏教学科卒。名古屋大学大学院在学中、文部省国際交流制度でインド・プネー大学に留学し、哲学博士の学位取得。岡谷市の真言宗智山派照光寺住職。

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