人生の苦に向き合って正しい道を歩むこと

人生が苦に満ちているのであれば、その苦悩を軽減していくにはどうしたらいいのでしょうか。そのために導き出されたのが、「四諦(したい)」と「八正道(はっしょうどう)」です。

「諦」は現代では「あきらめる」という意味ですが、仏教的には「明らかにする」という意味を持ちます。

四諦というのは、人生には四苦八苦があることを理解して受け入れ(苦諦=くたい)、苦の原因を自ら見つめ直し(集諦=じったい)、欲望や執着から解放される悟りの境地(滅諦=めったい)を得るために、日々正しい道を歩む(道諦=どうたい)ことです。

四諦は、ブッダが悟りを開き*入滅(にゅうめつ)するまで一貫して説法を続けた人生の真理です。

生・老・病・死をはじめとする人生の苦(四苦八苦)といかに向き合っていくかについて説いたものです。

そして、人生苦を滅して、正しい道を歩むための方法が次に述べる八正道というわけです。

●正見(しょうけん) 自己中心的な見方や偏見を持たずに、中道の見かたをする。

●正思惟(しょうしゆい) 自己本位に陥らずに、まっすぐな心で苦悩に向き合う。

●正語(しょうご) 嘘をつかず、他人の悪口などはいわない。

●正業(しょうごう) 正見・正思惟に基づいて行動する。

●正命(しょうみょう) きちんとした生活態度で日々をすごす。

●正精進(しょうしょうじん) 与えられた使命や目的に対して正しく励む。

●正念(しょうねん) 雑念を払って、仏の存在を念じる。

●正定(しょうじょう) 乱されることなく精神統一をする。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の宗教』
監修:星川啓慈 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1956年生まれ。1984年、筑波大学大学院哲学・思想研究科博士課程単位取得退学。1990年、日本宗教学会賞受賞。現在、大正大学文学部教授。博士(文学)。専門は宗教学・宗教哲学。主な著書に、『言語ゲームとしての宗教』(勁草書房、1997年)、『宗教と〈他〉なるもの』(春秋社、2011年)、『宗教哲学論考』(明石書店、2017年)、『増補 宗教者ウィトゲンシュタイン』(法藏館、2020年)など。