地球上に初めて現れた生命は微生物だ

ウイルスを別にすると微生物は大きく2つに分けることができます。1つは原核(げんかく)微生物、もう1つは真核(しんかく)微生物です。真核微生物とは、真核生物の微生物ということです。真核生物とは、その名の通り細胞のなかに核を持つ生物のことを言います。私たち人間や動物、植物なども真核生物です。

核とは、遺伝子がたくさん連なっている染色体を球状の膜のなかに閉じ込めたものです。真核生物にはこの核のほか、小胞体、ミトコンドリア、ゴルジ体など、いろいろな役割をする細胞内小器官があります。光合成をおこなう葉緑体などもこの細胞内小器官です。真核生物のうち、目に見えないほど小さいものが真核微生物です。

いっぽう、原核生物は、みな微生物なので、原核微生物という言い方はちょっとおかしいですね。原核生物は、細胞内に真核生物が持つような細胞内小器官がないのですが、染色体はあります。核はないので、染色体が膜にひとまとめに包まれた核様体が細胞内にあります。

原核生物には、いわゆる細菌とアーキアという2つのグループがあります。アーキアは、古細菌(こさいきん)とも呼ばれていました。

アーキアの多くは、私たち人間から見れば非常に極端な環境で見つかっています。例えば、高温の温泉、熱水鉱床、深海、塩湖などで見つかっている、超好熱性菌、メタン生産菌、好塩性菌です。以前は、このような特別な微生物は生命の進化の最初の位置にあたるものと推定されていたのですが、最近ではアーキアと細菌、真核生物は共通の祖先から別れてそれぞれに進化したと考えられています。別途にアーキアから真核生物が別れたという考え方もあり、これからの研究で明らかになっていくことでしょう。

ところで、酵母、カビ、キノコ、原生動物なども真核生物に含まれます。酵母では、出芽(しゅつが)で増えるものと細菌と同じように細胞分裂で増殖するものがいて、それぞれ出芽酵母と分裂酵母と呼ばれます。パン酵母は、出芽酵母の一群です。カビやキノコは、ふだんは菌糸を伸長させて糸状に増殖するため、菌を糸状菌(しじょうきん)と呼ぶこともあります。

真核微生物のほとんどは、自分の体の外にある有機物を取り込んで生きていますが、森のなかで倒木や落ち葉、動物や昆虫の死体などを分解してくれます。植物に寄生して生きていたり、植物の病気を引き起こすこともあります。

これに対して、外から有機物を取り込んで生きるものもいる原核生物ですが、有機物がなければ炭酸ガスや空気中の窒素を利用して、必要な栄養を自分の体のなかで生成して生きていくものもいます。地球上の窒素、硫黄などの元素を、私たちが利用できるようなアミノ酸に変換されるのは、みなこれらの微生物のおかげです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 微生物の話』
著者:山形洋平  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1961年生まれ。東京農工大学農学部農芸化学科卒業。東北大学大学院農学研究科農芸化学専攻(博士課程後期)修了。東北大学農学部助手、東京農工大学共生科学研究院准教授、東京農工大学大学院農学研究院准教授を経て、現在は東京農工大学大学院農学研究院教授。農学博士。趣味は、醗酵食品の食べ歩きと醸造飲料の飲み歩き。