発見が相次ぎ、微生物の数は十数年間で4倍に

前項で述べたように、微生物は、地球上のどこにでも存在しているのです。ジャングルの奥深く、万年雪をかぶった高山や成層圏、深海などの自然界や、人体の皮膚やお腹のなかなどをはじめ、あらゆるところで見つかっています。

人間の活動の範囲が広がっていくにつれ、新しく踏査した場所で微生物が見つかります。ですので、人間の活動の範囲が広がれば広がるだけ新しい微生物が見つかる可能性があります。土壌1gのなかには、数億もの微生物がいると報告されています。

では、人間はどれほどの微生物について知っているのでしょうか。

2020年5月現在、国際原核生物命名規約に則ったオンラインデータベースLPSN(List of prokaryotic names with standing in nomenclature)には、約19000種類の原核生物(細菌とアーキア)が登録されています。これでも地球上の微生物の種類のうち、わずか0.0005〜1%に過ぎないという説もあります。というのも、地球上の微生物のうち人工的に培養することができるものはほんの一握りで、そのほかの多くは培養するのが難しいからです。

2007年、国際微生物連盟に登録されていた微生物の数は5000種弱でした。この十数年間のうちに4倍にも増えたことになります。微生物登録には、微生物の大きさや、形、どんな栄養を利用できるかなどの生理学的性質、細胞膜をつくっている脂質の種類や細胞壁の構成など化学的な性状、リボソームRNAをコードする遺伝情報配列などの情報が必要です。

特に、この遺伝情報の配列解析の進歩が分類を飛躍的に向上させました。これまで同属だと思われていた微生物が、新種だったと明らかになったことも多々あります。

米国国立生物工学情報センターのデータベースには、51万0197の細菌と1万3529のアーキアが登録されています。こちらのデータベースには、人のなかに人種があるように、同じ種類の菌のなかでも遺伝情報などが異なっているなどの知見が掲載されます。つまり、微生物は同じ種類であっても多様性に富んでおり、それぞれが個性を持っているのです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 微生物の話』
著者:山形洋平  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1961年生まれ。東京農工大学農学部農芸化学科卒業。東北大学大学院農学研究科農芸化学専攻(博士課程後期)修了。東北大学農学部助手、東京農工大学共生科学研究院准教授、東京農工大学大学院農学研究院准教授を経て、現在は東京農工大学大学院農学研究院教授。農学博士。趣味は、醗酵食品の食べ歩きと醸造飲料の飲み歩き。