リセットされた世界で神との新たな契約を結ぶ

その後、アダムとエバの間にはセトという男の子が生まれ、その子孫からノアが生まれました。

その頃になると、地上には多くの人間が住むようになっていましたが、人々は多くの悪事を行ない、常に悪いことを考えているありさまでした。

その様子をご覧になった神は、人間を造ったことを後悔しました。そして、動物たちももろともに滅ぼしてしまうことにしました。

ただ、ノアだけは神の意志に従っていたので、彼とその家族だけは助けることにしました。神は彼に「箱舟を造りなさい」と言い、その造りかたまで教えたのです。

「わたしはあなたと契約を立てる。あなたは妻子や嫁たちとともに箱舟に入りなさい。また、すべて命あるもの、すべて肉なるものから、2つずつ箱舟に連れて入り、あなたとともに生き延びるようにしなさい」

そして神は、天の窓を開けて地上に大雨を降らせました。雨は40日40夜続き、地上はことごとく洪水に襲われました。町ばかりではなく、すべての山も水の下に沈んだのです。

洪水は150日の間、地上を覆(おお)い続けました。

やがて水は引き始め、箱舟は*アララト山の上に止まりました。ノアは箱舟から放った鳩がオリーブの葉をくわえて戻ってきたのを見て、地上から水が引いたことを知りました。

水が完全に引いた後、ノアは祭壇を築いて神に献げ物をしました。その香りをかいで神はノアに「二度と洪水で生き物を滅ぼすことはしない」と言われました。

 

神はこの契約のしるしとして、雲の中に虹を置いたのです。

用語解説 *アララト山 現在はトルコ東端の標高5137m の山がアララト山と呼ばれているが、聖書でいうアララト山と同一なのかは不明。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 聖書』
著者:渋谷伸博  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1960年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒。宗教史研究家。よみうりカルチャーなどで神話をテーマとした講座も開講している。著書多数。近著に『一生に一度は参拝したい全国の神社めぐり』『聖地鉄道めぐり』『神々だけに許された地 秘境神社めぐり』『歴史さんぽ東京の神社・お寺めぐり』(いずれもジー・ビー)、『あなたの知らない般若心経』(宮坂宥洪監修、洋泉社新書)、『諸国神社 一宮・二宮・三宮』(山川出版社)などがある。