バビロニア王に仕えた預言者

長かったバビロン捕囚もバビロニアがペルシアに征服されたこともあって、紀元前538年に終わりを告げました。

4万ともいわれるユダヤの民たちはエルサレムへと戻り、神殿の再建に取りかかりました。

ダニエル書はエルサレム帰還後に捕囚の時代を回顧して書かれたものと考えられています。

一説によると、シリアによってエルサレムが支配されていた頃(紀元前2世紀半ば)で、その苦難に立ち向かうために作られたのではないかといいます。すなわち、旧約聖書に収録された文書の中でも、最も新しい時期に成立したものといえます。

ダニエル書は大きく2部に分かれます。前半はバビロニア王に重用されたダニエルの活躍。後半は不思議な動物などが現れるダニエルの幻視です。

最初に語られるのは、ダニエルの夢解きです。

ダニエルは*ネブカドネツァル王が部分ごとに素材が異なる巨像を夢みたことを見抜き(王は自分がどんな夢をみたか忘れていた)、それはこの地の諸国の興亡を表していると教えたのです。

また、大木の夢についても、王の運命を示していると解釈してみせました。

さらに、ベルシャツァが酒宴を行なっている時に、空中に現れた指が書いた文字の意味も、みごとに読み解いてみせました。

しかし、そんなダニエルを妬(ねた)む者もいました。彼らはダニエルが守ることのできない法を定め、その罰として多くのライオンが住む洞窟に投げ込んだのです。

しかし、天使に守られたダニエルは無事に洞窟から出ることができ、逆に告発者をライオンの洞窟に追いやったのでした。

用語解説 *ネブカドネツァル王 エレミアの項で登場したネブカドレツァルと同一人物。表記が違うが聖書(新共同訳)の記述に従う。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 聖書』
著者:渋谷伸博  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1960年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒。宗教史研究家。よみうりカルチャーなどで神話をテーマとした講座も開講している。著書多数。近著に『一生に一度は参拝したい全国の神社めぐり』『聖地鉄道めぐり』『神々だけに許された地 秘境神社めぐり』『歴史さんぽ東京の神社・お寺めぐり』(いずれもジー・ビー)、『あなたの知らない般若心経』(宮坂宥洪監修、洋泉社新書)、『諸国神社 一宮・二宮・三宮』(山川出版社)などがある。