iDeCo、つみたてNISAを使い分けましょう

まとまった資金は用意できない、お給料も多いとはいえないけれど、毎月なんとかもらえている……そんなあなたにとって、積み立て投資はぴったりの資産運用法です。さらに、積み立て投資では非課税(税金がかからない)で有利に投資できるしくみが用意されています。それが、次の二つです。

①iDeCo(個人型確定拠出年金)
②つみたてNISA(少額投資非課税制度)

本来、株式や投資信託などに投資して利益を得た場合は、その利益の約20%の税(所得税、住民税、復興特別税)がかかります。そのため、実質的に手にできるのは、利益の8割程度。ところが、この二つの制度では実質的に利益をすべて手にできるので、より有利に投資できるのです。この二つの制度は特徴が異なります。それを理解したうえで使い分けましょう。

iDeCoは老後資金形成の〝最強〟ツール
iDeCoは、「個人型確定拠出年金」という制度の愛称。老後のために現役時代から投資信託などにお金を積み立てていく私的な年金制度です。公的年金は世代間の助け合い制度なので、若い人はお給料から差し引かれている年金保険料をそのまま老後に受け取るわけではありません。現役世代が負担した保険料で、老後世代に年金を給付する「仕送り」のようなしくみになっています。

このため、寿命が早く来てしまうと若いときに払ったほどには受け取れないことになり、逆に長生きすれば支払った保険料を超えて受け取れることになります。しかしiDeCoは、自分名義の口座をつくって自分でお金を積み立てていくしくみです。支払ったお金( 掛け金といいます)がそのまま見ず知らずの高齢者に送られるようなことはなく、自分名義の資産となります。

iDeCoで積み立てた資産は、たとえ破産した場合でも差し押さえの対象にならず、離婚しても原則として財産分与の対象にもならない。老後の生活のために強力に守られる資産です。受け取る前に死亡した場合でも、積み立てたお金を遺族が受け取ることができます。また、公的年金は現役時代の収入額などに応じて受け取れる額が決まりますが、iDeCoは自分が積み立てたお金を自分で運用し、その運用成果に応じた額を受け取れます。

運用がうまくいけば、積み立てた額を大きく上回る額を受け取ることができます。でも、うまくいかなかったら、積み立てた額を下回る金額しか受け取れないこともあり得ます。また、公的年金はすべての国民が加入するものですが、iDeCoの加入は任意です。利用するかどうかは個人の自由で、強制されるものではありません。iDeCoでは運用の利益が非課税になること以外にも、毎年の所得税や住民税を減らす効果があることから、いわばおトクに老後資金を形成できる最強ツール。加入者数は205万人を超えています(2021年6月時点)。

●つみたてNISAは長期・分散・積み立て投資をサポートする制度
一方、つみたてNISAは、若い人の長期、積み立て、分散投資をサポートするため、2018年にスタートしたしくみです。 NISAは「小額投資非課税制度」の愛称で、本来であれば利益にかかるはずの税が非課税となるメリットがあります。最長20年間、利益に課税されず、年間40万円まで最大800万円を積み立て投資できます。

また、投資できる対象は、長期の積み立て、分散投資に適した金融商品としての条件を満たし、金融庁に届出が行なわれた投資信託などに限定されています。このため、投資未経験者でも商品を選びやすく、スタートしやすくなっています。利益に課税されない点はiDeCoと一緒ですが、二つの制度は似ているようで違います。

【出典】『ほったらかしで3000万円貯める! お金と投資の超入門』
監修:坂本綾子/ファイナンシャルプランナー(日本FP 協会認定CFP Ⓡ) 日本文芸社刊

監修者プロフィール
明治大学在学中より、雑誌の編集に携わり、卒業後にフリーランスの雑誌記者として独立。1988 年より女性誌、マネー誌にて、お金の記事を執筆。1999年にファイナンシャルプランナー資格取得。2010年にファイナンシャルプランナー坂本綾子事務所を設立し、執筆に加えて、家計相談やセミナー講師も行なう。2012 年よりフォスター・フォーラム(良質な金融商品を育てる会)の活動に参加、消費者教育を担当。近著に『年収200 万円の私でも心おだやかに毎日暮らせるお金の貯め方を教えてください!』(SB クリエイティブ)、『まだ間に合う! 50 歳からのお金の基本』(エムディエヌコーポレーション)、『節約・貯蓄・投資の前に 今さら聞けないお金の超基本』(朝日新聞出版)などがある。