怪物退治に家畜小屋掃除、あらゆる難業を成し遂げる半神の英雄

ヘラクレスに課せられた最初の難業は、ネメアに住むライオン退治。刀の通らないライオンを三日三晩かけて絞め殺し、皮を剥(は)ぎ取りました。その偉業により、ライオンの皮を身にまとい、その頭を兜(かぶと)にした姿が、彼のトレードマークとなりました。

その後も毒蛇ヒュドラや3つの頭を持つ冥界の番犬ケルベロスなどの怪物を、退治したり生け捕りにしたり。「アマゾン族の女王から帯を奪え」「30年間掃除していない牛小屋を掃除しろ」などという無理難題もありました。

女神などの助けを借りながら、12の難業をすべて成し遂げ、ヘラの呪いが解けたヘラクレスは、後妻を迎えました。

愛し合うふたりでしたが、妻を襲った悪党ネッソスを射殺したことにより、最後の災難に見舞われます。

死の間際「自分の血は恋の媚薬」と囁(ささや)いたネッソスの言葉を真に受けた妻は、ヘラクレスが心変わりしないようにと、実は猛毒であるその血を、夫の下着に塗り込めます。

下着を身につけた瞬間から耐え難い苦しみに襲われた英雄は、家来に命じて自分を生きたまま火葬させるのでした。

オリュンポスの神々は、苦難に満ちた彼の魂を正式な神として迎え入れたのです。

*ヒュドラ:アルゴス地方の沼に住み、周囲の人間や家畜に害をなしていた。9つの頭を持つという巨大な蛇の姿をしている。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々』
著者:鈴木悠介  日本文芸社刊