勝敗を握る運命の女神。オーディンに反逆することも!

激しい戦闘シーンに華を添えるのは、美しい女神たちの集団、ヴァルキリーの存在です。

ヴァルキリーには、アース神族のみならず、巨人族や人間の王の娘たちも加わり、オーディンの命令に従うことが掟(おきて)となっていました。戦争が勃発するやいなや、ヴァルキリーは天馬に乗って戦場に駆けつけます。

しかし、彼女たちの役目は参戦することではなく、必死に戦う男たちの勝敗を機(はた)織り機で決めること。戦士の死相を読み取り、軍配を決めるという重要な任務を負っていたのです。

また、命を落とした戦士の魂を癒(いや)すこともヴァルキリーの大切な役割でした。勇敢に戦った戦士の魂を、アースガルドに建てられた戦死者の館ヴァルハラへと案内したのです。

ヴァルハラへ導かれた戦死者の魂は、ヴァルキリーが差し出す最上級のごちそうで疲れを癒します。そして、オーディンに絶対服従の戦士として再生していくのでした。

オーディンに背(そむ)くことは厳禁ですが、反逆することもありました。オーディンを裏切って勝手に戦争の勝敗を決めたり、戦士と掟破りの恋に落ちたりすることも。

オーディンの激しい怒りにふれたヴァルキリーには、その後、悲惨な運命が待ち受けていたことはいうまでもありません。

*機織り機:ヴァルキリーは戦争の勝敗を織物の織り機で決めていた。その部品は矢や剣でできていたが、織物の糸は人間の腸、錘(つむ)は人間の頭と、なんともグロテスク。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々』
著者:鈴木悠介  日本文芸社刊