偶然に化石になった生物が手がかりになる

すでに絶滅している古生物のことを知る最大の手がかりは化石です。化石とは、地層に残された昔の生物の死がいや痕跡のことで、おもに1万年以上前のものをいいます。

すべての生物が死後、必ず化石になるわけではありません。骨や殻のような硬い部分も長い年月を経ると風化し、大半が崩れてしまいます。

しかし、死後すぐに海や川の底に埋もれると、その上に降り積もった堆積物(たいせきぶつ)に少しずつ圧縮されて硬くなる続成(ぞくせい)作用が起こります。

さらにこの地層が隆起して陸上に現れると、ようやくわたしたちに見つけられる「化石」となるのです。

化石にもさまざまな種類があります。古生物研究に使われる代表的なものは体化石(たいかせき)、生痕化石(せいこんかせき)、化学(かがく)「分子(ぶんし)」化石です。

体化石は生物の体の一部や全部が保存された化石です。博物館に展示されているのはおもに体化石です。

ただし、いくら保存状態のよい体化石であっても、全身すべてが保存されているわけではありません。二枚貝類は殻全体で見つかることが多いのですが、爬虫類(はちゅうるい)や哺乳類(ほにゅうるい)の多くは部分的な骨や歯の化石だけです。この頼りない手がかりに光を与えたのが、18世紀フランスの研究者キュビエでした。

生物の体内では、常に各器官が互いに連動し、機能的に動作しています。たとえば肉食動物なら、エサをとらえる爪や足、歯の形があるはずです。体の一部分の化石から、その古生物の全体像を推察する―こういった視点から動物の生態を推定することを目指す学問が比較解剖学です。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話』
著者:大橋智之  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
大橋智之(おおはし・ともゆき) 北九州市立自然史・歴史博物館 学芸員。古脊椎動物担当。1976年、福島県生まれ。東北大学理学部卒。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。日本古生物学会会員。