複雑な生物が大量に生まれた生物の黎明期

研究者の間では、原生代に二度、地球表面全体が凍結するほどの激しい氷河時代が存在したと考えられています。これを「全球凍結」や「スノーボール仮説」と呼びます。

エディアカラ紀とは、約6億3500万年前から約5億4100万年前を指す地層時代の区分です。最後の全球凍結を引き起こした氷河期以降から、古生代カンブリア紀がはじまるまでにあたります。

全球凍結は、原生生物の大量絶滅やそれに続く1万種ともいわれる多様な生物が突如誕生したカンブリア爆発をもたらしたとされています。

エディアカラ紀の地層からは不思議な化石が100種以上見つかっています。その大半が印象化石と呼ばれるもので、湿った砂に横たわっていた生物の体の輪郭だけが保存された化石です。おそらく硬い殻や骨がなかったため、体は残らなかったのでしょう。

しかし、その跡からは、地球上に初めて現れた多細胞生物の姿がはっきりと確認できます。これらをエディアカラ動物群と呼んでいます。 名前はオーストラリア、アデレードの北方にあるエディアカラの丘陵で大量に発見されたことに由来します。

エディアカラ紀の生物には目や歯、ヒレがないというのも大きな特徴です。エディアカラ動物群のひとつであるネミアナは、クラゲに似ており同じ刺胞動物(しほうどうぶつ)の原始的なもののように見えます。

しかしディッキンソニアやランゲオモルフのように、どう解釈するべきかわからない生物もいます。

エディアカラ動物群の正体はまだ結論が出ていません。後に登場する節足動物の祖先だとする説がある一方、現存している生物種とは一切の類縁関係がなく絶滅した生物だったとする専門家もいます。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話』
著者:大橋智之  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
大橋智之(おおはし・ともゆき) 北九州市立自然史・歴史博物館 学芸員。古脊椎動物担当。1976年、福島県生まれ。東北大学理学部卒。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。日本古生物学会会員。