ミクロの生物が生態系全体を知る手がかりに

微化石(びかせき)とは、肉眼では観察できないほど小さい化石を指す言葉です。 ただし近年では、1センチから5センチ近いものも見つかっています。

観察するには高性能な光学顕微鏡や電子顕微鏡のような機器が必要なほど微小な化石ですが、そこから得られる情報は古生物研究において非常に有効です。近年、その存在感はますます増しており、まさに小さな巨人と呼べるでしょう。

微化石が活躍する舞台のひとつが年代決定です。地質年代の項目でもお話ししたように、従来、地層の年代を知るおもな手がかりは、三葉虫、アンモナイト類、貝類といった比較的大きな化石でした。

しかし地層の堆積物には多くの微生物も含まれています。つまり、膨大な生命にまつわる情報が隠れているということです。しかも微生物は進化のスピードが速いので、時代や環境に適応して変化していく様子を調べれば、かなり細かく年代がわかります。

20世紀後半、顕微鏡などの科学機器の性能が向上したことで、微化石の研究が一気に進み、最近では、新生代の地層は微化石を使って年代を調べることが多くなっています。古生代と中生代については微化石と大型化石を組み合わせるのが一般的です。

また、太古の地球環境の変遷を微化石で調べる研究も盛んになっています。重りをつけた金属の筒を、海に沈め、海底にたまっている堆積物を深くまで掘り出し、底に含まれる微生物の化石から、太古の地球の環境を調べるという試みです。

代表的なものとしては放散虫(ほうさんちゅう)、有孔虫(ゆうこうちゅう)、珪藻(けいそう)、石灰質ナンノプランクトン、コノドントといった微化石がこうした研究に用いられています。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話』
著者:大橋智之  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
大橋智之(おおはし・ともゆき) 北九州市立自然史・歴史博物館 学芸員。古脊椎動物担当。1976年、福島県生まれ。東北大学理学部卒。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。日本古生物学会会員。