古生物が教える絶滅と生物多様性の大切さ

大量絶滅とは、ある時期に多くの生物種が一斉に消えてしまう(絶滅する)現象です。 恐竜が絶滅した白亜紀末の大量絶滅がよく知られていますが、古生代以降少なくとも5度の大量絶滅が起きていることがわかっています。

そのなかで最大の大量絶滅は、古生代と中生代の境界で起こったものです。

さまざまな大規模環境変動が連鎖的に発生したことにより、三葉虫など、生物の種のうち約96%が消えてしまいました。地層でもはっきりと区別できるため、この境目を地質年代区分の用語でP/T境界と呼びます。

アンモナイトは激減したものの、P/T境界を乗り越え、再び繁栄した種のひとつです。

有名な中生代と新生代の境目で起こった大量絶滅(K/Pg境界)の原因は、巨大隕石の衝突がきっかけだと考えられています。P/T境界に比べて規模は小さかったものの、恐竜や魚竜といった巨大爬虫類、アンモナイトなどが消えてしまったことで、その後の哺乳類の台頭とヒトの繁栄につながりました。大量絶滅は、新たな進化のきっかけでもあるのです。

これらの大量絶滅は、数年単位で起こったことではありません。ひとつの種が絶滅したことで生態系が壊れ、その影響で別の種が減り、さらにほかの種にも影響が出るという連鎖により100万年単位の時間をかけて起きたことです。

昨今、地球温暖化と環境破壊によって生物の多様性が猛烈な速度で失われている現状を「第6の大量絶滅」とみなす場合があり、多くの科学者が警鐘を鳴らしています。古生物を知ることは、この大切な問題を考える指針にもなるはずです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話』
著者:大橋智之  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
大橋智之(おおはし・ともゆき) 北九州市立自然史・歴史博物館 学芸員。古脊椎動物担当。1976年、福島県生まれ。東北大学理学部卒。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。日本古生物学会会員。