大陸移動の証人となった生物

古生代デボン紀末の地上に登場した四足動物なかに、卵から生まれる直前である胚の時期に羊膜「ようまく(胎児と羊水を包む膜)」をもつグループが現れました。これが有羊膜類と呼ばれるグループで、石炭紀後期に両生類から分かれたと考えられています。

羊膜の存在は、卵の内部を外の環境から守り、胎児を大きく育てることに貢献しました。有羊膜類には、現在の地球上に存在する爬虫類(鳥類を含む)と哺乳類が含まれます。

メソサウルスは、ペルム紀前期に登場しました。爬虫類とする説と爬虫類に近い仲間とする説があります。活動エリアは陸上ではなく、水中でした。全長は1メートルほど。頭、首、胴、尾は細長く、歯も細長く鋭かったようです。手脚はヒレ状で、湖や沼などの淡水に住んでいたと見られています。

大人の体内に胎児(幼体)の骨がある化石も見つかっています。

メソサウルスの重要な点は、遠く離れた場所で化石が見つかっているという点です。

南アメリカ大陸のブラジル、ウルグアイ、アフリカ大陸のナミビア、南アフリカにいたことがわかっています。

海を自由に泳ぎまわる海洋生物ならばわかりますが、湖や沼で暮らしていたメソサウルスという種がこれほど遠く離れた大陸を移動できたとは考えられません。

この事実は20世紀初頭に、ドイツの地質学者ウェゲナーが提唱した「かつて地球の大陸はひとつ(超大陸パンゲア)で、その後分裂して分かれたのではないか」という大陸移動説の証拠のひとつとなりました。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話』
著者:大橋智之  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
大橋智之(おおはし・ともゆき) 北九州市立自然史・歴史博物館 学芸員。古脊椎動物担当。1976年、福島県生まれ。東北大学理学部卒。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。日本古生物学会会員。