赤外線の利用

最近のほとんどの電化製品には、リモコン(リモートコントロール)装置がついています。多くのリモコンでは赤外線という光を使って電化製品の受光装置へ信号を送っています。

赤外線の波長は数十マイクロメートルなので、肉眼で直接見ることはできませんが、デジタルカメラなどを使うと、リモコンのボタンを押したときに送信部が点滅する様子を確認できます。これは、カメラなどに使われているCCDやMOSセンサーが、人間の目では見えない光も捉えて画像にするからです。

では、リモコンからはどのような信号が送られているのでしょうか?

リモコンから送られる信号を、赤外線が当たると抵抗値が変化する赤外線センサーとオシロスコープで解析すると、約0.5から1.2㎜/秒の長さの赤外線のONとOFFで構成されていることがわかります。

赤外線リモコンのデジタル信号は少し変わっています。たとえば短いOFFと短いONで0を、短いOFFと長いONで1を表現する、という具合です。

つまり、リモコンの受光装置は、この点滅タイミングの違いを解析して、どのボタンが押されたかを判断してチャンネルを切り替えているのです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 物理の話』
著者:長澤光晴  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1967年生まれ。東京理科大学理工学部物理学科卒業。北海道大学大学院理学研究科物理学専攻博士課程修了。東京電機大学工学部基礎教育センター・工学部環境化学科准教授、フランス国立極低温研究所(CRTBT)客員研究員(2001年)を経て、現在は東京電機大学工学部自然科学系列・工学研究科物質工学専攻教授。博士(理学)。日本物理学会所属。著書に『面白いほどよくわかる物理』(日本文芸社)がある。