予言を信じた人々の行動によって、現実となる

「予言を実現する」と聞くとすごく難しいように感じますが、実はその仕組みを知ると、我々の生活でつねに起こっているようなことなのです。まずは予言が実現していく過程を見ていきましょう。

ある飲食店を潰したいひとりの男が、その飲食店に関する根拠のない情報を流します。それを聞いた人たちは飲食店に行くのを控え、結果的に飲食店は経営難となり倒産してしまいました。「飲食店を潰したい」という男の予言(期待)が現実のものとなったのです。このように情報を信じた人々の行動によって予言や期待が現実になることを「予言の自己実現」と言います。

ローゼンタールらは、こうした予言や期待を活用した教育実験を行っています。この実験では、ある小学校の1年生から6年生を対象に知能(IQ)テストを行った後、テストの結果とは関係なく無作為に生徒を選出し、教師に「この生徒たちはIQが高かったので、今後成績が伸びます」と告げました。半年後に再び知能テストを行うと、知能が伸びると告げられた生徒たちの成績が実際に伸びたのです。

そのカラクリを解明するために、授業風景を観察してみると、教師がその生徒たちに対して、授業中に接する機会を多めに設け、好意的な態度をとっていたことがわかりました。「成長する」という期待が教育の場で大きな影響を与えていたのです。そして、丁寧な教育を受けた生徒たちは、教師の期待に応えて、成績を伸ばしました。このように期待されている人が、その期待通りに物事を成功させることを「ピグマリオン効果」と呼びます。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学』 監修:亀田達也

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多数派の意見に同調してしまうのはどうして?

日本人はよく多数派に同調しやすい、そんなイメージがあるかもしれません。しかし、この傾向はどんな人にも当て余る普遍性を持ったものなのです。なぜ私たちは多数派の意見に同調しやすいのでしょうか?この同調について、有名な実験があります。

この実験はカード①に描かれた線と同じ長さのものを、カード②に描かれた3本の線の中から選ぶというもので、実験には8人の学生が参加しました。回答はひとりずつ順番に行いますが、実は参加者のうち7人は〝サクラ〞で、あらかじめどの線を答えるかを指定されていました。

明らかに間違った答えでも多数派に同調してしまう

この実験の目的は、多数が間違った回答をした場合、被験者はそれに同調するかを調べることで、被験者は7人のサクラの回答を聞いたあと、8番目に回答します。実験は線の長さを変えながら複数回行われましたが、問題自体はいずれもひとりで回答したときは正解率99%というごく簡単なものでした

ところが、7人全員が誤った回答をした条件下だと、被験者による誤答率は32%にも上りました。普通なら間違えようのない問題でも、全員が別の回答を選ぶと、それに大きく影響されてしまうことが明らかとなったわけです。なお、7人のサクラのうち、必ず正解を答える他者がひとりいた場合、被験者の誤答率は5・5%まで低下しました。

会社の会議などでも全員一致の意見に反対するのは勇気がいりますが、ひとりでも反対者がいれば意見を表明しやすくなります。同調を促うながすには全員一致であることが重要で、ひとりでも自分と同じ意見の人がいると、その圧力は大きく弱まるというわけです。

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