2022日本シリーズ勝敗を分けたポイントはどこ?

今年の日本シリーズはオリックスが4勝2敗1分でヤクルトを下し、26年ぶりの日本一に輝いた。開幕3戦で2敗1分と追い込まれながら、そこから怒涛の4連勝。一体、シリーズの潮目はどこで変わったのか?全7試合を振り返りながら「勝敗を分けたポイント」を探ってみよう!

主砲・村上&山田対策の徹底

シリーズ前からオリックスがもっとも頭を悩ませたのがヤクルトの主砲・村上宗隆対策だったのは間違いない。史上最年少での三冠王、シーズン56本塁打など、球史に残る成績を残した4番をいかに抑え込むか……。日本一のためには、「村上封じ」は不可欠だった。

その意味で、シリーズ7戦を通して村上を打率・192(26打数5安打)1本塁打5打点と抑え込めたことが、日本一に寄与したことは間違いない。

オリックス投手陣の「村上対策」をあらためて振り返ると、決して奇策を用いたわけではなく実はかなりオーソドックスな攻め方
に終始したことが分かる。ヤクルト投手陣がオリックスの主砲・杉本裕太郎に対して執拗なインコース攻めを見せたのとは対照的に、オリックス投手陣は村上に対して、特定のコースや球種に頼った攻めではなく、あくまでも基本通り、いわゆる「インハイとアウトローの対角線」を使った攻め方を見せていた。

どのコースでも広角に長打を放て、目立った「穴」のない村上を相手にするには、確かに基本に立ち返った攻め方が有効かもしれない。ただ、それを完遂できるだけの技術と精神力がなければ、この攻め方を選択することはむずかしい。もちろん、今季はセ・リーグ各球団の投手陣も同じような「村上対策」を講じてきたはずだが、オリックスはこの「シンプル・イズ・ベスト」の攻め方を徹底して見せた。

シリーズ前、村上対策と同様か、それ以上に重要と考えられていたのが「村上の前後を打つ打者を抑え込めるか」だった。「村上の前後」とはつまり、3番・山田哲人、5番・オスナだ。完全無欠の打撃成績を誇る村上を完璧に封じ込めるのは難しい……であればその前後の打者を抑え込むことで打線を分断し、打線が「線」になることを防ぐ。そのためには、山田&オスナをきっちりと抑え込む必要があった。

結果から言うと、オリックス投手陣は「村上の前」を打つ山田を封じ込めることに成功している。山田のシリーズ成績は打率・083(24打数2安打)1本塁打3打点。山田には第3戦で3ランを含む2安打を浴びたが、7試合で打たれたヒットはこの2本だけ。しかもこの試合、山田は1番で起用されており、「3番・山田」に対しては6試合で20打数0安打と文字通り完璧に抑え込んでいる。

ちなみにこの第3戦、3番を打ったのは塩見泰隆だったが、3打数0安打。シリーズ通して、ヤクルトの「3番打者」は23打数0安打。つまり、「村上の前」を打つ打者に1本のヒットも許さなかった。

5番のオスナがシリーズ打率・367(30打数11安打)2本塁打8打点と爆発したにもかかわらず、大量失点が第3戦(7失点)だけだったのは、3番・山田&塩見を完全に封じ込め、4番・村上に対しては丁寧な攻めで波に乗せず、ヤクルト打線を文字通り「分断」したことが大きかった。

出典:『がっつり! プロ野球(33)』