老化すると体の動きが鈍くなる

歳を取っていくと、若いときに比べてさまざまな不具合を感じることになります。「老眼」「耳が遠い」「物忘れ」に悩んだり、「足腰が痛む」「歩行速度が遅い」「動作が緩慢」に打ちひしがれます。「歳だから」と一言ですませてしまいがちですが、ここではもう少し詳しく考えてみましょう。

「老化は小さくなること」「老化は悪いものが溜まり、良いものが不足する」「細胞も老化する」と述べてきました。身体の動きが鈍くなるのもこれらで説明できます。37兆個の細胞は、年齢を重ねると数が減り、老化した細胞も増えます。身体の動きをつかさどる骨、筋肉、関節軟骨、腱などの運動器でも例外はなく、細胞が減って老化すると機能が劣化するわけです。

骨量が減ると骨折の原因となり、筋肉が小さくなると筋力が落ちたことで咄嗟の動きができず、走れなくもなります。関節軟骨も擦り減ると痛み、関節の動きがぎこちなくなります。また、動きには脳や神経も関係しています。大脳や小脳の働きも体をスムーズに動かす協調性を担っているからです。運動神経や感覚神経も、運動器と脳の双方向をつなぐための情報交換にとても大切です。

神経や脳も細胞数の減少や老化することで機能が悪くなります。さらに老化した細胞は、SASP(細胞老化関連分泌形質)因子を分泌して、体全体に悪影響(慢性炎症)を与え、ダメ押しすることとなります。また、運動器や神経も使わないと働きが悪くなるのです。そのため、運動習慣が滞りがちになると、いざというときに自分の体が動かないことに愕然となってしまうのでしょう。

ですが、たとえそんな経験をしたとしても、運動や食事などの生活習慣は、改善できるので、今からでも挽回するチャンスはあります。最近、食品に含まれる成分に老化細胞を除去する作用やSASP因子を抑制する作用が発見され注目されています。勇気づけられますよね。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 老化の話』監/長岡功 野村義宏