超高齢社会を迎えて、骨粗鬆症の患者数が増加しています。女性では女性ホルモンの“エストロゲン”欠乏にともなう“閉経後骨粗鬆症”、男性では老化にともなった“老人性骨粗鬆症”が知られています。特に女性の骨量低下は、閉経後に急速に起こることが知られていて、それが骨粗鬆症患者は女性に多いといわれる所以となっています。
健康な骨は、日々、古い骨が溶かされる「骨吸収」、新しい骨がつくられる「骨形成」というサイクルを繰り返しています(骨のモデリング下図)。一方、老化により、このバランスが崩れ、骨吸収のスピードが骨形成のスピードに勝る場合、骨が脆くなっていきます。
骨密度は男女ともに18〜20歳くらいでピークに達し、40歳くらいまでは維持されますが、50歳前後から低下していきます(下図)。このため、現在の骨粗鬆症の判定基準によれば、50歳以上の女性が高率に罹患し、男性の場合は、60歳以上から判定基準の対象となります。70歳以上では女性のおよそ半数程度の割合で骨粗鬆症に罹患するといわれています。
これらは、老化にともなうホルモンバランスの変化、カルシウム、ビタミンD・ビタミンKなどの摂取量が低下、運動不足によって骨への負荷が減ることなども原因となります。予防としては、カルシウムやビタミンDを多く含む食品を摂ること、1日に15分は日光を浴びること、骨に適度な負荷を与える運動を行うことです。
骨粗鬆症の治療としては現在、「骨吸収を抑えるビスホスホネート製剤」「抗RANKL抗体製剤」「骨形成を助ける副甲状腺ホルモン製剤」「抗スクレロスチン抗体製剤」など、軽症〜重症までの骨粗鬆症患者によく効く薬が多く開発されています。高齢者では、運動機能の低下によって、転倒骨折を起こしやすくなり、運動しない不動状態では、骨や筋の萎縮で運動機能低下がさらに加速します。男女にかかわらず重要であって、特におっくうがらず適度な運動をすることが大切になっています。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 老化の話』監/長岡功 野村義宏