なぜ女性が骨粗鬆症になりやすいのか

女性は男性と比べて骨粗鬆症になりやすいことが明らかとなっています。女性の65歳で3人に1人、75歳で2人に1人が“骨粗鬆症”になると推定されているのですね。女性の骨粗鬆症の発症には、前項で述べた老化だけでなく、ホルモンバランスの変化も大きく関係します。とくに更年期(閉経前後の5年間を合わせた約10年間)を迎えた女性は、閉経によって女性ホルモンの“エストロゲン”が急激に減少し、骨粗鬆症になりやすくなります(下図)。

女性ホルモンと骨量の変化

骨粗鬆症の発生頻度

エストロゲンの減少により発症する骨粗鬆症を“閉経後骨粗鬆症”と呼びます。エストロゲンは骨量を維持する作用を持つため、これが減少すると、骨を溶かす力が強くなり、骨密度を減らす原因となるのです。一方、男性では、老化による骨が脆くなる一因として男性ホルモンの“アンドロゲン”減少が挙げられます。

ですが、エストロゲンほどの急激な減少変化ではないため、女性と比べて、男性の骨が減るスピードは緩やかです。このため、現在の骨粗鬆症の判定基準によれば、50歳以上の女性が高率に罹患し、男性より低年齢で、より高い割合で骨粗鬆症に罹患します(下図)。

エストロゲンレベルの正常と低下状態

閉経後骨粗鬆症の予防には、バランスのいい食事、適度な運動、日光浴が非常に有効です。更年期後だけではなく、若いころから意識してこれらに取り組み、最大骨量を維持する。それが骨粗鬆症の予防につながるのです。また、定期的に骨密度検査を受診し、医師に骨の健康状態を評価してもらうことが大事です。

現在、女性の閉経後骨粗鬆症の治療としてはさまざまな骨吸収の抑制薬や骨形成の促進薬の適用が挙げられていますが、閉経でも進むエストロゲン欠乏に対する「エストロゲン補充療法」、エストロゲンの副作用を排除した「選択的エストロゲン受容体作動薬」の投与によるホルモン治療も、今後の展開が待たれているところです。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 老化の話』監/長岡功 野村義宏