限局性学習症/限局性学習障害(SLD)とは、知的能力障害(などの知的発達に問題がないにもかかわらず、基本的な学習能力に著しい困難が見られる特性です。
しばしば学習障害(LD)とも呼ばれ、医学的定義と教育的定義では違いがあります。医学的定義では「読むこと(読字障害)・書くこと(書字表出障害)・計算すること(算数障害)」に限定されていますが、教育的定義では、この3種類に加えて「聞くこと・話すこと・推論すること」が含まれます。これらの能力のうち、ひとつだけが苦手な場合もあれば、複数が苦手な場合もあります。
限局性学習症は、学習する機会を通じて初めて発覚するため、幼児期においては日常生活に大きな支障が見られず気づかれにくい特性と言えます。就学後、学年が上がるにつれて目立つようになり、一部の教科において授業についていくことが難しくなっていきます。
特定の学習だけが苦手であることから、しばしば「努力不足」と誤解されがちです。しかし、限局性学習症は脳機能による特性であり、学習の遅れは子ども本人に責任はありません。どれだけ勉強をがんばっても思うように効果が得られず、自信を失ったり傷ついたりしてしまうことが少なくありません。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学』監修/湯汲英史