プロ野球球団経営にIT企業が参入したことにより、球界が大きな変貌を遂げているようです。今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』では著者で経営コンサルタントの梅本泰則さんが、昨年観客動員数200万人を超えた横浜DeNAベイスターズの経営手法を詳しく紹介しています。

横浜DeNAベイスターズに学ぶ経営

プロ野球のシーズンが始まりました。何となく盛り上がりを感じます。観客も増えているのではないでしょうか。

ソフトバンク、楽天、DeNAといったIT企業が参入してから球界が変わってきています。それまでとは違った考え方や手法が取り入れられているからです。

そして、横浜DeNAの経営手法は、何度もメディアに取り上げられています。2月20日の「ITメディア」でも、横浜DeNAのことが記事になりました。

● 初の200万人動員 横浜DeNAベイスターズを地域に根付かせた仕掛け

それによりますと、2018年のDeNAの観客動員数は200万人を超え、この7年間で1.8倍に増えたとのこと。そして、毎年赤字を出していた球団経営が、2016年に黒字になりました。素晴らしいですね。どんな方法で、そのようなことになったのでしょう。

よく「チームが強くなれば、観客は増える」と球団関係者や選手は言います。ところが、DeNAはそうは考えませんでした。ファンに、「勝っても負けても満足できる」体験を提供することが観客を増やすことにつながると考えたのです。マーケティングで言うところの、「誰に」「何を」「どうやって」の中の「何を」の部分ですね。

その体験とは、例えば球場内でのイベント「ヨコハマ スター ナイト」という選手と観客が一体となって盛り上がるイベントを行いました。また、球場外で行う「勝祭(かっさい)2018」という歩行者天国イベントもそうです。公式試合をビアガーデンやホテルで観られる「ライブビューイング」も行っています。これが「どうやって」ということですね。

DeNAの成功の秘密

そして、マーケティングですから「誰に」を明確にしなくてはなりません。当然、DeNAは、まず顧客ターゲットを明確にしてからマーケティングを始めました。

それは「アクティブサラリーマン」です。「野球好きのおやじ」ではありません。つまり、20〜30代の働く男性で、アウトドアやイベントに出かけることを好む人たちです。そうしたターゲットに対して、体験を提供しようと考えました。

そして、売上の公式は「客単価×客数」です。客単価よりは観客数を増やすことを優先しました。そのためには「チームが強くなることだ」という古い意識を変えていきます。スポーツショップでも「商品を安く値引きをすればお客様が増える」という古い考え方を持っているのと同じです。DeNAは、それを「楽しめる体験」で目的を果たそうとしました。

実はこの体験も、本当に成果があがるかどうかやってみなくては分かりません。いろいろなアイデアを出して実行しましたが、失敗したことも少なからずあったそうです。挑戦することが大切だということを示しています。

DeNAには、まだ成功の秘訣がありました。黒字になるまでに、5年という時間がかかっていますが、決して経費削減という方法をとらなかったことです。経営を頑張って売上や利益を増やし、その利益を選手や施設への投資にまわしてきたために黒字になるまでに時間がかかりました。

よくある、人件費や広告宣伝費のカットではなく、逆にそこを増やしたのです。立派な経営だと言っていいでしょう。

DeNAから学べること

さて、このDeNAの戦略から、あなたのお店でも学べることがあります。まず、DeNAの「チームが強ければお客様が来てくれるわけではない」という考え方。これは、「人気ブランドや商品をそろえればお客様が来てくれるわけではない」という考え方に通じます。商品力だけに頼っていてはだめなのです。

そして、DeNAが「誰に」を明確に決めたようにあなたのお店もそうしましょう。例えば「うまくなりたいと思っている部活生徒」とか「レギュラーを目指して頑張っている10代の若者」とか。

また、DeNAは、中心ターゲットである「アクティブサラリーマン」だけでなく、その周辺にいる人たち(家族など)にもアプローチをしました。あなたのお店も、部活生徒を応援している友人、家族、先生、監督コーチといった人たちにもアプローチすることです。きっと効果があるでしょう。

「何を」は、まさに「満足できる体験」です。これはいろいろアイデアが出てくるでしょう。例えば、

有名スポーツ選手と触れ合える 技術レベルが上がる指導が受けられる お客様とお店が交流できるイベント

というのは、よくある方法です。そして、利益が増えたら、DeNAのように投資をしましょう。お店の内装や外装を新しくするのも良いです。ホームページに投資するのも良いかもしれません。きっと、経営の良い循環が生まれるはずです。

■今日のツボ■

横浜DeNAの観客が増えたのにはワケがある それは、「勝っても負けても楽しめる」体験を提供したことである スポーツショップもDeNAから学べることが多い

image by: TK Kurikawa / Shutterstock.com

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