コロナ禍でリアル店舗が苦境に立たされ、いわゆるECショップに活路を見出す小売店が増えました。確かにこのような環境の中では、ネットでの買い物は便利で需要もあります。しかし、リアル店舗にしかない接客を求めているお客さんも多いはず。そこで今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』では、著者で経営コンサルタントの梅本泰則さんが『ルルレモン』というブランドの接客方法を例に挙げ、リアル店舗が必要とされる理由を述べています。

リアル店舗とECショップ

EC販売に力を入れる小売店が増えています。しかし、お客様にとってECショップだけでは満たされないものがあるようです。やはり、リアルなお店で買いたいというお客様も多くいるのでしょう。

今回はそんなことを教えてくれるお店の話です。

リアル店舗とECショップ ルルレモン躍進の秘密

今回のコロナの影響で、多くの小売店がダメージを受けています。お客様が来ないからです。そこで、EC販売に活路を見いだした小売店もたくさんあります。スポーツショップもそうです。

ところが、いざEC販売をしてみると、何かまどろっこしい気がします。リアルなお店で行っているような「接客」が出来ないのです。

確かに、ECショップにも「WEB接客」のような仕組みが開発されています。しかし、それは単に商品を探すための仕組みです。来店されたお客様にあわせて、丁寧で臨機応変な対応が出来る仕組みにはなっていません。

やはり「接客」はリアルなお店の方に圧倒的な分があります。ですから、ECショップに対して、リアル店舗の強みは「接客」だということが確認できたお店も多いことでしょう。

つまり、EC販売に力を入れることも大切ですが、それだけで今のお店が繁盛するわけではないのです。リアル店舗が頑張らなければ、お客様に信頼されませんし売上も増えては行きません。

そんな「接客」の大切さを改めて教えてくれるお店があります。

ルルレモンというブランドをご存知でしょうか。ヨガウエアからスタートしたブランドなので、スポーツ業界の方にはよく知られています。そのルルレモンは1998年にカナダで創業した歴史の浅いメーカーです。

とはいえ、2019年の売上は約4,260億円、営業利益は約951億円。もう立派な大企業です。そして、売上も営業利益も、昨年より20%以上伸びています。急成長の企業と言っていいでしょう。

どうして、そんなに伸びているのでしょうか。いくつもの秘訣はありますが、その一つが「接客」です。

ルルレモンの接客 

ルルレモンはメーカーでもありますが、小売店でもあります。メーカー直販のスタイルです。現在、世界中に約490店舗を出店しています。日本にも2006年に上陸していますが、2年で撤退。2016年に再上陸を果たしました。そんなわけで、日本での出店はまだ9店舗という段階です。きっとこれから増えていくことでしょう。

さて、そのルルレモンの「接客」です。どんな秘訣があるのでしょう。

ルルレモンでは、販売員のことを「スタッフ」ではなく「エデュケーター」と呼んでいます。「エデュケート」という英語は「教育する」とか「育てる」の意味ですね。ですから、ルルレモンの「エデュケーター」は、商品のことを教える人と定義されているようです。もう少し詳しく言えばお客様に商品やその他の関連情報を伝え、同時にお客様からの意見を引き出すのがルルレモンの販売員の仕事となっています。

そして、ルルレモンには「商品を売ってはいけない」という方針があるそうです。そのため、「エデュケーター」の仕事は

・お客様と日常会話をする
・会話をしながら、商品の特徴やお勧めの運動を教える
・お客様から個別の商品に対する要望や意見を聞く

ということになっています。

いかがですか。

「そんなの当たり前だ」「毎日やっていることだ」と思われたことでしょう。そうなんです。ルルレモンの接客法は、あなたのお店で行われている方法と同じです。

しかし、ルルレモンはこの接客法を一つの武器として急成長しました。丁寧な接客を避ける他のチェーンストアの売場とは逆を行ったからです。ですから、あなたが当たり前と思っておられる接客方法は決して当たり前ではありません。お店にとって大きな武器なのです。

リアル店舗の武器

もう一度繰り返します。

武器となる接客方法は、

・お客様には商品を売り込もうとしない
・日常会話でお互いのことを知り合う
・商品の情報について、詳しく伝える
・商品の使い方や、運動の仕方を教える
・お客様の要望や意見を聞き出す
・聞き出した要望や意見を商品やお店の改善に活かす

ということです。これは、決して「接客マニュアル」で出来るものではありません。販売員の能力が頼りです。ですから、販売員の努力や教育が必要となります。いずれにしても、「接客」の質がお店にとっての大きな武器であることをよく理解しなくてはいけません。

そして、ルルレモンにはもう一つ別の武器があります。それは、ルルレモンのお店が「コミュニティの場」だということです。ルルレモンの店舗では、ヨガスタジオを運営しています。そこではヨガレッスンやランニングなどのイベントを無料で開催。「地元の人が集う場所」を目指しているからです。これも、従来のチェーンストアにはない考え方です。

では、この点についてあなたのお店はどうでしょう。意識をしているかどうかは別にして、「地元のスポーツマンが集まる場所」になっています。ルルレモンと同じです。人は「集まる場所」を必要としています。そして、そこは「いやされる場所」なのです。しかも、あなたのお店ではときどきスポーツのイベントを開いています。ルルレモンと同じ武器を持っているではありませんか。

つまり、これがあなたのお店の存在理由の一つなのです。それが分かれば、今後もやるべきことが見えてきます。

リアル店舗での「接客」は、とてもECショップでは無理です。また、リアル店舗は「コミュニティの場」としてもECショップよりはるかに高い質のものが提供できます。ですから、お店にとっては、この「接客」と「コミュニティ」が重要なカギです。

そして、EC販売を活かすためにも、他の店との差別化を図るためにもこの二つの武器を磨きあげていくことが大切なのではないでしょうか。そんなことをルルレモンは教えてくれています。

■今日のツボ■

・「接客」は、ECショップよりリアル店舗に圧倒的に分がある
・ルルレモン躍進の秘訣は「接客」と「コミュニティの場」にある
・二つの武器を磨くことで、他店との差別化が図れる

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